強い抱擁ではない。
両腕を身体に回し、引き寄せる穏やかなものだ。
だが。
あの真理が、早紀を抱きしめている──その事実には、変わりがない。
この歪んで狂いかけた、ヒキガエルの身体を。
あっ…あっ。
言葉が死ぬ。
頭の中から、これまで覚えた言葉の全てが死に絶えてゆく。
それくらい、早紀は真っ白になっていた。
「大丈夫だ」
だから。
頭の側でこぼれた声も、意味が分からなかった。
耳で音を拾うのが、精いっぱい。
「何と混じろうが…お前は早紀だ」
言葉が──死ぬ。
死は、優しくない。
素晴らしくもない。
愛しくも、温かくもない。
けれど、いつも側にある。
特に早紀の側には。
そんな死と同じように。
側に真理がいる。
温かいとは思えない抱擁だが、そこに憐れみはなかった。
打算も慰めも。
だが、初めて真理から──愛を感じた。
温かくはない愛も、この世にはあるのだ。
それをあの真理が、初めて早紀に流し込んでくれたのである。
言葉を亡くしたまま、彼女は真理を抱き返していた。
自分の意思で。
そして。
今度もまた、自分の意思で。
真理から離れた。
言葉は浮かばない。
けれど。
早紀は──前を向きなおした。
両腕を身体に回し、引き寄せる穏やかなものだ。
だが。
あの真理が、早紀を抱きしめている──その事実には、変わりがない。
この歪んで狂いかけた、ヒキガエルの身体を。
あっ…あっ。
言葉が死ぬ。
頭の中から、これまで覚えた言葉の全てが死に絶えてゆく。
それくらい、早紀は真っ白になっていた。
「大丈夫だ」
だから。
頭の側でこぼれた声も、意味が分からなかった。
耳で音を拾うのが、精いっぱい。
「何と混じろうが…お前は早紀だ」
言葉が──死ぬ。
死は、優しくない。
素晴らしくもない。
愛しくも、温かくもない。
けれど、いつも側にある。
特に早紀の側には。
そんな死と同じように。
側に真理がいる。
温かいとは思えない抱擁だが、そこに憐れみはなかった。
打算も慰めも。
だが、初めて真理から──愛を感じた。
温かくはない愛も、この世にはあるのだ。
それをあの真理が、初めて早紀に流し込んでくれたのである。
言葉を亡くしたまま、彼女は真理を抱き返していた。
自分の意思で。
そして。
今度もまた、自分の意思で。
真理から離れた。
言葉は浮かばない。
けれど。
早紀は──前を向きなおした。


