食われる。
その感触を表現するならば、それが一番近かっただろう。
いつも、早紀のいる鎧に入る時は、飲まれる感じだが、今日のこれは違う。
兜を掴んでいる手から、まるで咀嚼されるように引き込まれていくのだ。
だが。
まだ、いまならば手を引き抜ける。
早紀を助けに行きたくないなら、手を抜けばいいと。
その選択権を、にやにや笑いながら真理に投げ与えているつもりなのだ。
この鎧は。
だが、行くしかない。
早紀が消えたままでは、真理に鎧は使えないのだ。
それに。
彼の意識の前方を──早紀の映像が掠める。
何度か。
何度かこれまで、彼女の存在は真理を強く揺さぶった。
火花のように一瞬ずつ、何度か。
その火花の瞬間に見えた早紀は、あまり自覚はしたくないが、彼に強く焼き付いているのだ。
それが何なのか、まだ真理は掴めずにいる。
「行ってやろう…」
肘まで食われたところで、真理は間近にある鎧の兜に向かって、上段から言い放った。
『そうかそうか』
真理を噛み砕きながら、鎧は愉悦の響きを溢れさせる。
その鎧の金属が、顔の目の前まで近づいた。
顔に噛みつかれる直前。
『そのまま…』
迫りくる漆黒。
『そのまま…奈落までいってこい』
がぶり。
その感触を表現するならば、それが一番近かっただろう。
いつも、早紀のいる鎧に入る時は、飲まれる感じだが、今日のこれは違う。
兜を掴んでいる手から、まるで咀嚼されるように引き込まれていくのだ。
だが。
まだ、いまならば手を引き抜ける。
早紀を助けに行きたくないなら、手を抜けばいいと。
その選択権を、にやにや笑いながら真理に投げ与えているつもりなのだ。
この鎧は。
だが、行くしかない。
早紀が消えたままでは、真理に鎧は使えないのだ。
それに。
彼の意識の前方を──早紀の映像が掠める。
何度か。
何度かこれまで、彼女の存在は真理を強く揺さぶった。
火花のように一瞬ずつ、何度か。
その火花の瞬間に見えた早紀は、あまり自覚はしたくないが、彼に強く焼き付いているのだ。
それが何なのか、まだ真理は掴めずにいる。
「行ってやろう…」
肘まで食われたところで、真理は間近にある鎧の兜に向かって、上段から言い放った。
『そうかそうか』
真理を噛み砕きながら、鎧は愉悦の響きを溢れさせる。
その鎧の金属が、顔の目の前まで近づいた。
顔に噛みつかれる直前。
『そのまま…』
迫りくる漆黒。
『そのまま…奈落までいってこい』
がぶり。


