手を、伸ばす。
両手を。
その白く綺麗な首筋へ。
早紀は、生まれて初めて人を自ら害しようとした。
貴沙は、何故か動けないでいる。
彼女の身軽さならば、すぐさま早紀など払いのけて逃げられるだろうに。
指が。
首筋に。
かか──ぐいっ!
早紀の周辺で、二つの力が動いた。
一つは葵。
彼女が、動かない貴沙を後方に強く引っ張って、早紀から引き離す。
しかし。
しかし、もう一つ。
力があった。
それは、早紀の身体を後方に引っ張るもの。
登場人物は、三人のはずだ。
だから、もう一つの力など、動くはずがない。
じゃあ、誰が。
誰が、早紀を動かそうとしたのか。
「やめておけ…」
頭の側で──声がした。
瞬間。
ぐらん。
視界が回るかと思うほどの、精神的な衝撃が全身を駆け巡る。
身体がよろけて後方へ傾くのを、何かが受け止めた。
ここは早紀の夢の更に夢の中。
そこに、いるはずのない者が、紛れ込んでいる。
「…しん…り」
振り返れないまま、震える唇でその音をこぼす。
自分を、憐れんだ男。
「ああ…」
だが。
いま、彼女を支えている男でもあった。
両手を。
その白く綺麗な首筋へ。
早紀は、生まれて初めて人を自ら害しようとした。
貴沙は、何故か動けないでいる。
彼女の身軽さならば、すぐさま早紀など払いのけて逃げられるだろうに。
指が。
首筋に。
かか──ぐいっ!
早紀の周辺で、二つの力が動いた。
一つは葵。
彼女が、動かない貴沙を後方に強く引っ張って、早紀から引き離す。
しかし。
しかし、もう一つ。
力があった。
それは、早紀の身体を後方に引っ張るもの。
登場人物は、三人のはずだ。
だから、もう一つの力など、動くはずがない。
じゃあ、誰が。
誰が、早紀を動かそうとしたのか。
「やめておけ…」
頭の側で──声がした。
瞬間。
ぐらん。
視界が回るかと思うほどの、精神的な衝撃が全身を駆け巡る。
身体がよろけて後方へ傾くのを、何かが受け止めた。
ここは早紀の夢の更に夢の中。
そこに、いるはずのない者が、紛れ込んでいる。
「…しん…り」
振り返れないまま、震える唇でその音をこぼす。
自分を、憐れんだ男。
「ああ…」
だが。
いま、彼女を支えている男でもあった。


