極東4th

「待ってたぜ」

 鎧の男が、立っている。

 ついさっき会ったばかりの相手が、そこにいる。

 しかし、雰囲気が違った。

 現実の狂気を引きずったまま、早紀はその足元に座り込んでいて。

 ただ、ぜいぜいと息を繰り返す。

「さあ…これでもっと俺の影響が大きくなる…戦ってこい」

 そんなボロボロの早紀に、彼は戦えというのだ。

 一体何と。

 考える間もなく、早紀は叩き落とされていた。

 ついさっき体験した、あの光景の中に。

「誰か…いるの!?」

 貴沙だ。

 巡らされる視線。

 その瞳の中に──早紀が映った。

「あ…」

 声が、出た。

 自分の身体が、はっきりとそこに『ある』ことを感じた。

「あんた…誰よ」

 貴沙は、はっきりと自分を認識している。

 そして、攻撃的に誰何してきた。

 おかしい。

 おかしいに決まっている。

 だって、ここは夢の中なのだ。

 そこで、昔話を聞かされていただけ。

 それなのに、何故自分が認識されるのか。

「誰かって…聞いてるのよ」

 珠をぎゅっと握り込んで、貴沙がベッドを下り、こちらに歩いてくる。

 ずぶ濡れのまま。

 葵も、自分を見つけたのだろう。

 驚いた顔で早紀を見ている。

 これは、何?

「人間? …いや、魔族ね…何をしにきたのよ」

 問答無用に突き飛ばされる。

 なすすべもなく、床に転がった。

 痛かった。