極東4th

 ビクっとして。

 目を開けた。

 夢の中の心拍数を、そのまま現実世界に持ち出したかのように、胸が高鳴っている。

 側には、真理がいた。

 反射的に、その夜衣を掴む。

 鎧の男が、何か企んでいる気がする。

 それ以前に、現実ではひたひたと追い詰められている。

 助けて、と。

 目の前の真理にすがる。

 童話なら、彼は王子様だ。

 王子ならば、どんなピンチも救ってくれて、そしてお姫様と幸せに暮らすのだ。

 お、ひめ、さ、ま。

 ざわっと。

 背筋が騒いだ。

 どこに。

 どこに姫などいるのか、と。

 真理がどれほど王子様であろうと、自分はただの下僕でしかない。

 怪しい魔法をかけられた、ヒキガエルに過ぎないではないか。

 温かいはずの毛布の中で、早紀は寒風に吹きさらされる。

 そうなってしまったのなら。

 寒くてしょうがないのなら。

 たとえ自分がカエルであったとしても、目の前の王子にしがみつくしかない。

 彼が払いのけない限り、身の程知らずの両生類らしく、夢を見て現実から逃れているしかできないのだ。

 その身体に腕を回し、自分よりも温かい身体にすり寄る。

 助けて。

 カエルのままでいいから。

 魔法なんか解けて、元に戻らなくていいから。

 真理は起きている。

 目を開いて、早紀の行動を見ている。

 ヒキガエルの自分を。

「憐れだな…」

 あっ。

 真理の言葉が──魂を刺した。