「綺麗でしょ…」
言ったのは、貴沙。
「これ、なに?」
問いかけたのは、葵。
手のひらの中の、美しい珠。
早紀は──それを見ていた。
あっ。
その光景に、早紀は後ずさった。
また、だ。
また、鎧の男の見せる夢に引きずり込まれたのだ。
夢。
いや、自分の中にある過去の現実。
前は、貴沙として見ていた光景を、今度は少し離れて早紀として見ている。
「これはね…青の珠。裏返りの…珠」
もてあそぶように、貴沙はそれを転がした。
自分を生みだす元凶となった世界が、いままさに目の前で流れている。
「裏返り?」
「そう…あたしは生まれ変わるの」
ふふふ。
閃かせる舌は、猫のよう。
傍から見ていると、本当に貴沙という女が魅惑的であったことが分かる。
彼女と自分が同一人物とは、とても信じられないほど。
「待って」
その手を、葵が止める。
「生まれ変わるって…何故? 貴沙のままでいいじゃない」
顔色のよくない葵は、何も知らないのだ。
自分の病気のために、貴沙がそうしようとしていることを。
「私が嫌なのよ…せっかく面白い力を持ってたって、いまのままじゃ宝の持ち腐れだもの。これを飲めば、私は魔族の連中の中で暴れられるわ」
葵のことなど、関係ある素振りも見せない。
知らなければ、早紀だって騙されるほどの名演技だ。
「そんな…」
口ごもる葵に、貴沙は何かを言おうとしていた。
その唇が、はっと息を飲む。
目が。
「誰か…いるの!?」
彼女の目が、部屋の中をぐるりと巡った。
『おっと』
早紀の頭の中で、そんな声がする。
鎧の男の声だった。
気づいたら、彼の前にいて。
貴沙も葵もいなくなっていた。
「さっきの…何?」
何故か、どきどきする胸を押さえきれずに、早紀は問いかけた。
「さあて…なんだろうなぁ」
素直に答える男では、なかった。
言ったのは、貴沙。
「これ、なに?」
問いかけたのは、葵。
手のひらの中の、美しい珠。
早紀は──それを見ていた。
あっ。
その光景に、早紀は後ずさった。
また、だ。
また、鎧の男の見せる夢に引きずり込まれたのだ。
夢。
いや、自分の中にある過去の現実。
前は、貴沙として見ていた光景を、今度は少し離れて早紀として見ている。
「これはね…青の珠。裏返りの…珠」
もてあそぶように、貴沙はそれを転がした。
自分を生みだす元凶となった世界が、いままさに目の前で流れている。
「裏返り?」
「そう…あたしは生まれ変わるの」
ふふふ。
閃かせる舌は、猫のよう。
傍から見ていると、本当に貴沙という女が魅惑的であったことが分かる。
彼女と自分が同一人物とは、とても信じられないほど。
「待って」
その手を、葵が止める。
「生まれ変わるって…何故? 貴沙のままでいいじゃない」
顔色のよくない葵は、何も知らないのだ。
自分の病気のために、貴沙がそうしようとしていることを。
「私が嫌なのよ…せっかく面白い力を持ってたって、いまのままじゃ宝の持ち腐れだもの。これを飲めば、私は魔族の連中の中で暴れられるわ」
葵のことなど、関係ある素振りも見せない。
知らなければ、早紀だって騙されるほどの名演技だ。
「そんな…」
口ごもる葵に、貴沙は何かを言おうとしていた。
その唇が、はっと息を飲む。
目が。
「誰か…いるの!?」
彼女の目が、部屋の中をぐるりと巡った。
『おっと』
早紀の頭の中で、そんな声がする。
鎧の男の声だった。
気づいたら、彼の前にいて。
貴沙も葵もいなくなっていた。
「さっきの…何?」
何故か、どきどきする胸を押さえきれずに、早紀は問いかけた。
「さあて…なんだろうなぁ」
素直に答える男では、なかった。


