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「お話があります…」
来たのは──タミだった。
放課後。
帰ろうと立ち上がった真理の先に、彼女が現れたのだ。
好都合である。
どこまでエンドリン家に動きがあるのか、多少は探れるかもしれない。
ただ。
軽く周囲を見やる。
こんな学校で、話せる内容とは思えなかった。
ちらりと、タミも視線を動かす。
「うちの屋敷に来るといい」
彼女が、次の言葉を紡ぐより先に、彼は自分の意向を伝えた。
自分に有利になる先手を打ったのだ。
これならば、早紀も連れて帰ることが出来、安全圏に置いておける。
エンドリン家が、何の企みを持っているか分からないのだから。
しばしの沈黙の後。
「…兄も同行してよろしければ」
さすがに、一人で来る気にはならなかったようだ。
だが。
おかしな真似をする気がないことも、これで分かった。
「結構…」
言い置くと、真理は歩き出す。
もはや彼女が、真理と同じ車に乗るとは思えない。
後から兄と合流して、屋敷に来るだろう。
タミをかわし歩みを進めると、早紀がこちらに向かってくるのが見える。
その足が、止まった。
真理の向こう側を見ている。
タミが見えたのだろう。
そして、きっとタミも早紀を見ているのだ。
動きを促すべく、ゆっくりと彼女の腕に触れると、電流が走ったかのように、はっと彼女は顔を上げた。
不安定な瞳と唇。
早紀は、何もかもから逃げようとした。
鎧になることから逃げ、自分の価値を見失って逃げ──そして、いまは貴沙から逃げている。
そして今、逃げの反動で、真理にすがるのだ。
すがりつかれることでは、彼の心は満たされなかった。
早紀の好意は、その中にあるはずなのに。
おそらく。
自分は、もっと違うものを求めているのだ。
「お話があります…」
来たのは──タミだった。
放課後。
帰ろうと立ち上がった真理の先に、彼女が現れたのだ。
好都合である。
どこまでエンドリン家に動きがあるのか、多少は探れるかもしれない。
ただ。
軽く周囲を見やる。
こんな学校で、話せる内容とは思えなかった。
ちらりと、タミも視線を動かす。
「うちの屋敷に来るといい」
彼女が、次の言葉を紡ぐより先に、彼は自分の意向を伝えた。
自分に有利になる先手を打ったのだ。
これならば、早紀も連れて帰ることが出来、安全圏に置いておける。
エンドリン家が、何の企みを持っているか分からないのだから。
しばしの沈黙の後。
「…兄も同行してよろしければ」
さすがに、一人で来る気にはならなかったようだ。
だが。
おかしな真似をする気がないことも、これで分かった。
「結構…」
言い置くと、真理は歩き出す。
もはや彼女が、真理と同じ車に乗るとは思えない。
後から兄と合流して、屋敷に来るだろう。
タミをかわし歩みを進めると、早紀がこちらに向かってくるのが見える。
その足が、止まった。
真理の向こう側を見ている。
タミが見えたのだろう。
そして、きっとタミも早紀を見ているのだ。
動きを促すべく、ゆっくりと彼女の腕に触れると、電流が走ったかのように、はっと彼女は顔を上げた。
不安定な瞳と唇。
早紀は、何もかもから逃げようとした。
鎧になることから逃げ、自分の価値を見失って逃げ──そして、いまは貴沙から逃げている。
そして今、逃げの反動で、真理にすがるのだ。
すがりつかれることでは、彼の心は満たされなかった。
早紀の好意は、その中にあるはずなのに。
おそらく。
自分は、もっと違うものを求めているのだ。


