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双子の片方が死んだ──かもしれない。
その事実は、早紀を恐れさせた。
別人格の二人だが、双子だ。
どこかで、彼らをセットで見ていたことは、否定できなかった。
一人の中の、二つの人格のように。
その片方が。
消された。
たとえ生きていたとしても、もうおそらく前と同じではありえない。
一つしかない席を、奪い合って負けたのだから。
それが、自分と貴沙に似ている気がした。
席は、ひとつしかない。
座れるのは、自分か貴沙。
最初に貴沙が座っていたところを、次に自分が座った。
じゃあ次は?
貴沙には、まだチャンスがある。
彼女の中の、宝珠を取りさえすればいいのだから。
そして、今度彼女にチャンスが回ったら──自分のチャンスは、もう二度と回ってこない気がしたのだ。
そう思ったら。
真理のシャツを握っていた。
目の前にある、早紀の最後の綱。
彼が、『早紀』を望んでくれる限り、貴沙の番は回ってこない。
それだけが、彼女のすがるところなのだ。
「大丈夫だ…」
声が。
真理の声が、降ってくる。
彼女の魂を、震えさせるほどの音。
彼は、こんなに誰かを安心させるような言葉を吐く人ではない。
分かっていたからこそ、じっと真理を見てしまう。
何故、そんなことを言ってくれるのか、と。
何故、早紀をとどめてくれようとしているのか、と。
どう、して。
声に出来ずに、唇だけ動いた。
声にしてしまえば、失望する返事がきそうで。
だが、彼は早紀の唇の動きを見ていた。
言葉と同じ意味は、きっと届いたはずだ。
だが。
真理は、ゆっくりと視線を斜め上に向けた。
次の授業の、始業ベルが鳴ったのだ。
双子の片方が死んだ──かもしれない。
その事実は、早紀を恐れさせた。
別人格の二人だが、双子だ。
どこかで、彼らをセットで見ていたことは、否定できなかった。
一人の中の、二つの人格のように。
その片方が。
消された。
たとえ生きていたとしても、もうおそらく前と同じではありえない。
一つしかない席を、奪い合って負けたのだから。
それが、自分と貴沙に似ている気がした。
席は、ひとつしかない。
座れるのは、自分か貴沙。
最初に貴沙が座っていたところを、次に自分が座った。
じゃあ次は?
貴沙には、まだチャンスがある。
彼女の中の、宝珠を取りさえすればいいのだから。
そして、今度彼女にチャンスが回ったら──自分のチャンスは、もう二度と回ってこない気がしたのだ。
そう思ったら。
真理のシャツを握っていた。
目の前にある、早紀の最後の綱。
彼が、『早紀』を望んでくれる限り、貴沙の番は回ってこない。
それだけが、彼女のすがるところなのだ。
「大丈夫だ…」
声が。
真理の声が、降ってくる。
彼女の魂を、震えさせるほどの音。
彼は、こんなに誰かを安心させるような言葉を吐く人ではない。
分かっていたからこそ、じっと真理を見てしまう。
何故、そんなことを言ってくれるのか、と。
何故、早紀をとどめてくれようとしているのか、と。
どう、して。
声に出来ずに、唇だけ動いた。
声にしてしまえば、失望する返事がきそうで。
だが、彼は早紀の唇の動きを見ていた。
言葉と同じ意味は、きっと届いたはずだ。
だが。
真理は、ゆっくりと視線を斜め上に向けた。
次の授業の、始業ベルが鳴ったのだ。


