---
「まさか、当主になつくとはな」
鎧の出迎えの言葉は、面白くなさそうなもの。
不快というよりは、つまらないという響きだ。
「別に…いいでしょ」
早紀は警戒して、鎧と距離を取る。
最近の眠りの中では、ずっとこんな感じだ。
彼が自分を害すると、考えているわけではない。
彼がまた、貴沙の記憶を見せるのではないか──それを恐れているのだ。
もう、あんなものはいらなかった。
自分はただ、早紀でありたい。
早紀であることを脅かすものに、近づきたくないのだ。
「馬鹿な奴だ…」
その警戒を、鎧は低い笑いで蹴り飛ばす。
「せっかく、オレがきっかけを作ってやってんのに…見たくない、考えない、知ろうとしない」
やれやれ。
うんざりした声を、わざと作っている気がする。
早紀を、挑発しようとしているような。
しかし、言っている意味なんか、分かるはずもない。
「死×死の意味は…分かっただろう?」
なにを。
鎧は、何を言おうとしているのか。
近づきながら、上から見下ろしながら、彼女に何かを考えさせようとしている。
「わ…私が何かを知ったところで…どうなるの。あなたは、力さえあればそれでいいんでしょ」
憑き魔女が、貴沙でも早紀でもいいというのならば。
それでよいのならば、わざわざ彼女をかき回すようなことをしなくていいのだ。
何故、こんな禅問答のようなことを言うのか。
鎧は──足を止めた。
早紀を見下ろす。
漏らされたのは、吐息。
「じゃあ…お前さんに得になることを、ひとつ教えてやるよ」
そして、言葉。
「どうしようもなく追い詰められたら…鎧に逃げ込め」
意味なんか理解できないうちに──目が覚めた。
「まさか、当主になつくとはな」
鎧の出迎えの言葉は、面白くなさそうなもの。
不快というよりは、つまらないという響きだ。
「別に…いいでしょ」
早紀は警戒して、鎧と距離を取る。
最近の眠りの中では、ずっとこんな感じだ。
彼が自分を害すると、考えているわけではない。
彼がまた、貴沙の記憶を見せるのではないか──それを恐れているのだ。
もう、あんなものはいらなかった。
自分はただ、早紀でありたい。
早紀であることを脅かすものに、近づきたくないのだ。
「馬鹿な奴だ…」
その警戒を、鎧は低い笑いで蹴り飛ばす。
「せっかく、オレがきっかけを作ってやってんのに…見たくない、考えない、知ろうとしない」
やれやれ。
うんざりした声を、わざと作っている気がする。
早紀を、挑発しようとしているような。
しかし、言っている意味なんか、分かるはずもない。
「死×死の意味は…分かっただろう?」
なにを。
鎧は、何を言おうとしているのか。
近づきながら、上から見下ろしながら、彼女に何かを考えさせようとしている。
「わ…私が何かを知ったところで…どうなるの。あなたは、力さえあればそれでいいんでしょ」
憑き魔女が、貴沙でも早紀でもいいというのならば。
それでよいのならば、わざわざ彼女をかき回すようなことをしなくていいのだ。
何故、こんな禅問答のようなことを言うのか。
鎧は──足を止めた。
早紀を見下ろす。
漏らされたのは、吐息。
「じゃあ…お前さんに得になることを、ひとつ教えてやるよ」
そして、言葉。
「どうしようもなく追い詰められたら…鎧に逃げ込め」
意味なんか理解できないうちに──目が覚めた。


