極東4th

 早紀が、動物のようになついた。

 いや。

 子どものようになついた。

 真理が視界から消えるのを、まるで恐れるようについてくる。

 部屋にさえ。

 彼女は、自分の部屋にさえ戻るのをいやがり、真理の部屋に居ついたのだ。

 夜さえも。

 理由など、分かっている。

 もはや、彼女が『早紀』であることを認め、守れるのが真理しかいないからだ。

 つい先日、真実を知るまで母親に精神的に依存していたように、早紀はいま真理に依存しているのである。

 スイッチが入ると、とにかく彼女は極端に動き始めるのだ。

 望んでいたことだった。

 真理は、隣で眠る彼女を見る。

 ただ、自分のために尽くす憑き魔女。

 それを、彼は手に入れたのだ。

 なのに。

 満足出来ていない自分もまた、真理の内にある。

 自分が欲しかったのは、本当にこれなのかと。

 それに、問題もまだ何も解決してはいない。

 まだエンドリン家には、動きはない。

 真理の方から、取引を持ちかける材料もまた、ない。

 向こうが、早紀以外の取引に応じるとは、思えないからだ。

 鎧鍛冶の一族。

 タミを見れば分かるように、彼らは力を追い求めるのである。

 真理の誇りが戦いにあるように、彼らの誇りは鎧にあるのだ。

 早紀は、格好の獲物だろう。

 そう考えると、いまの早紀の状態は好都合だった。

 授業時以外、彼女が視界から離れることはない。

 さらわれる可能性は、限りなく低いということだ。

 夜が更ける。

 早紀は、死んだように眠ったまま。

 おそらく、鎧の世界にいっているのだろう。

 ふと。

 額の印に──ただ、触れてみた。