極東4th

 ようやく早紀の指が離れた真理は、ベッドから起き上がることが出来た。

 すぐに、自室に戻り修平を呼ぶ。

 昨日の事件の真実を、彼はまだ知らないのだ。

 既に他家に知られたことを、身内に隠している必要はなかった。

「……」

 黙って真理の説明を聞いていた彼は、ちらりと横を見る。

 早紀のいる部屋は、ここよりもっと離れているのだから、そんなところから見えるはずなどないのだが。

「なるほど…彼女は実は貴沙だった、と」

「そうだ」

「それを、タミ嬢に知られたと」

「…そうだ」

 短い確認の後、修平は考えを巡らせているようだった。

「上の連中に知られたら、普通なら外せと言われるだろうね。青ごときの宝珠など」

 そうだろうな。

 彼の言葉は、真理の予測の範囲内だった。

 理由は二つ。

 青の干渉を受けた、魔の鎧などあってはならないとう魔族のプライド。

 もう一つは──取りだした海族の宝珠を、存分に調べたいという技術畑の存在だ。

 その中には、おそらく鎧鍛冶の一族たちも入っているだろう。

 だが。

 早紀から宝珠を取り除く方法を知っているのは、海族だ。

 魔族が、彼らに助力を頼むはずなどなく、ましてや取り出した珠を、海族が渡すはずもなく。

 ということは。

「彼女を…取り上げられるだろうね」

 ピシッ。

 何か、音がした。

 氷が割れるような音。

「彼女から珠を取り出すまで、君も出撃できなくなるな」

 ピシピシッ。

「…そう怒らないでくれよ」

 そう言われるまで、真理は自分が強い冷気を放っている事実に気づいていなかった。