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もはや、何の手立ても間に合わない。
その事実を、真理は理解していた。
案の定、タミはこの屋敷には帰ってはこなかった。
既に早紀の情報は、他に漏れたと言っていいだろう。
ふぅ。
小さく小さく吐息をつく。
無意識に、自分が他人を気遣っていることに気づいて自嘲する。
同じベッドの中には早紀がいて、彼のすぐ側に寄り添っているのだ。
シャツも掴まれたままのため、お互い昨日の制服のまま。
本気で真理が引きはがそうとするならば、それは簡単に出来た。
だが。
もしいま彼女を一人にして、そしてフラフラ屋敷を出て行かれでもしたら──取り返しがつかないことになりかねなかったのだ。
早紀の存在は、明確に爆弾となった。
タミの一族なら、実験台に彼女を使いたいだろう。
あの海族は、宝を取り返したがっている。
情報は、力だ。
タミの一族も、無作為にバラまいたりすることはないはず。
もうしばらくは、その秘密は小さい世界で留まるだろう。
だが、何らかに利用しようと考えているのは間違いなかった。
そこまで考えて、真理はふと思考を止めるのだ。
自分が、早紀を早紀として止めおこうとしている事実に、気づいてしまったのである。
元々、憑き魔女などいらなかったのだ。
それならば、憑き魔女が誰であっても構わないではないか。
早紀の中の海の力を取り除き、貴沙に戻したとして何の不都合もない。
腕の中の、早紀を見下ろす。
そう。
誰でも、構わないではないか。
瞼が。
動いた。
湿ったままのまつ毛が、重そうに持ちあがる。
赤く汚れた黒い瞳が、ゆっくりと彼を見上げる。
その目は──早紀でいたがっていた。
もはや、何の手立ても間に合わない。
その事実を、真理は理解していた。
案の定、タミはこの屋敷には帰ってはこなかった。
既に早紀の情報は、他に漏れたと言っていいだろう。
ふぅ。
小さく小さく吐息をつく。
無意識に、自分が他人を気遣っていることに気づいて自嘲する。
同じベッドの中には早紀がいて、彼のすぐ側に寄り添っているのだ。
シャツも掴まれたままのため、お互い昨日の制服のまま。
本気で真理が引きはがそうとするならば、それは簡単に出来た。
だが。
もしいま彼女を一人にして、そしてフラフラ屋敷を出て行かれでもしたら──取り返しがつかないことになりかねなかったのだ。
早紀の存在は、明確に爆弾となった。
タミの一族なら、実験台に彼女を使いたいだろう。
あの海族は、宝を取り返したがっている。
情報は、力だ。
タミの一族も、無作為にバラまいたりすることはないはず。
もうしばらくは、その秘密は小さい世界で留まるだろう。
だが、何らかに利用しようと考えているのは間違いなかった。
そこまで考えて、真理はふと思考を止めるのだ。
自分が、早紀を早紀として止めおこうとしている事実に、気づいてしまったのである。
元々、憑き魔女などいらなかったのだ。
それならば、憑き魔女が誰であっても構わないではないか。
早紀の中の海の力を取り除き、貴沙に戻したとして何の不都合もない。
腕の中の、早紀を見下ろす。
そう。
誰でも、構わないではないか。
瞼が。
動いた。
湿ったままのまつ毛が、重そうに持ちあがる。
赤く汚れた黒い瞳が、ゆっくりと彼を見上げる。
その目は──早紀でいたがっていた。


