朝。
にしては、少し早いようだ。
部屋の中は、まだ真っ暗で。
そして。
「……!」
違う匂いがした。
早紀が、はっと顔を上げると。
ほんのすぐ側に──シャツがあった。
空っぽのシャツではなく、中身の詰まったシャツ。
それを、早紀は両手で強く握り締めていた。
驚きつつ、顔を上げると。
真理が、いた。
しかも、目は開いている。
何故、彼が。
そこまで考えかけて、早紀はうすらぼんやりと昨日の出来事を思い出すのだ。
とにかく昨日の彼女は、何かにしがみついていなければ、自分という存在を保つことも出来ない有様で。
ただひたすらに、目の前にある誰かに掴まり続けていたのだ。
病院の窓から飛び出した時も。
鎧を解除された時も。
その途中で、本当に何も分からなくなった。
いまもなお、シャツにしがみついているということは。
早紀は眠ってもなお、真理を離さなかったのだ。
彼は自分を見ている。
そんな彼を、自分は見ている。
何を、どう言えばいいのか分からなかった。
私は本当は真理より年上で、早紀という生き物ではなくて、この能力もただ単に母の力がひっくりかえっただけです。
既に、どこまで彼が知っているのかは分からない。
もしかしたら、真実を知らないのかもしれない。
真実を知らないというのならば。
この事実こそ、早紀は秘めたいと願った。
でなければ。
でなければ、自分を『早紀』と呼ぶ人は、誰もいなくなってしまうのだ。
「う…」
こみあげる何かを、彼女は飲み込もうとした。
指も、離せない。
真理は、何も言わなかった。
指も──ひきはがされなかった。
にしては、少し早いようだ。
部屋の中は、まだ真っ暗で。
そして。
「……!」
違う匂いがした。
早紀が、はっと顔を上げると。
ほんのすぐ側に──シャツがあった。
空っぽのシャツではなく、中身の詰まったシャツ。
それを、早紀は両手で強く握り締めていた。
驚きつつ、顔を上げると。
真理が、いた。
しかも、目は開いている。
何故、彼が。
そこまで考えかけて、早紀はうすらぼんやりと昨日の出来事を思い出すのだ。
とにかく昨日の彼女は、何かにしがみついていなければ、自分という存在を保つことも出来ない有様で。
ただひたすらに、目の前にある誰かに掴まり続けていたのだ。
病院の窓から飛び出した時も。
鎧を解除された時も。
その途中で、本当に何も分からなくなった。
いまもなお、シャツにしがみついているということは。
早紀は眠ってもなお、真理を離さなかったのだ。
彼は自分を見ている。
そんな彼を、自分は見ている。
何を、どう言えばいいのか分からなかった。
私は本当は真理より年上で、早紀という生き物ではなくて、この能力もただ単に母の力がひっくりかえっただけです。
既に、どこまで彼が知っているのかは分からない。
もしかしたら、真実を知らないのかもしれない。
真実を知らないというのならば。
この事実こそ、早紀は秘めたいと願った。
でなければ。
でなければ、自分を『早紀』と呼ぶ人は、誰もいなくなってしまうのだ。
「う…」
こみあげる何かを、彼女は飲み込もうとした。
指も、離せない。
真理は、何も言わなかった。
指も──ひきはがされなかった。


