なんで好きになったかなんて、貴沙は考えもしなかった。
ただ、この寿命も短く、ひねっただけで軽く死んでしまいそうな人間を、彼女は結局、気に入ってしまったのだ。
気に入ってしまったら、それが全てだ。
毎夜毎夜。
彼女は、葵の元へと飛んできては、くだらない話を話したり聞いたりした。
そんな付き合いをしつつ、一年ほどたった時。
葵は──倒れた。
そこでようやく、貴沙は理解したのだ。
自分が持つ魔気が、人間を弱らせる事実を。
知らなかったわけではない。
ただ、どの程度弱るのかなんて、これまで人間と付き合ったことがなかったから知らなかったのだ。
このまま、葵の元へ通い続ければ、彼女は死んでしまうかもしれない。
そこで、身を引く──あいにく貴沙は、そんなタマではなかった。
「へぇ、海族にはそんな面白い珠があるのね」
魔力は弱いが、無駄に知識だけは持っている魔族を軽く『暴き』、貴沙はその情報を手に入れたのだ。
人間と、一番上手に付き合える種族が、そいつらだったのだ。
能力を裏返す珠。
貴沙の魔力は、天力に裏返るのだろうか。
それはそれで、面白そうだった。
もし、彼女が天力を得たなら、魔族の全てを自由に暴けるようになる。
勿論、相手の魔力も自分に強く効くようになるだろうが、それもまた一興。
何より。
天力は、人間にとっては幸福を産む力、と言われていた。
天族は滅多に人間には接触しないようだが、魔力とは逆の意味で作用するのだろう。
だから貴沙は。
海族の世界へと、身ひとつで飛び込んだのだ。
魔と天の力が交錯するそこは、彼女にとって悪い戦場ではなかった。
そして。
「はぁい」
ズブ濡れの魔女は、葵の部屋に降り立った。
「どうしたの?」
横になっていた彼女が、驚いて起き上がる。
「ちょっと海まで、ね…それより面白いものを手に入れたわ」
濡れたままベッドの端に腰かけ、手のひらを開いて見せる。
虹色の真珠ほどの──美しい海の宝だった。
ただ、この寿命も短く、ひねっただけで軽く死んでしまいそうな人間を、彼女は結局、気に入ってしまったのだ。
気に入ってしまったら、それが全てだ。
毎夜毎夜。
彼女は、葵の元へと飛んできては、くだらない話を話したり聞いたりした。
そんな付き合いをしつつ、一年ほどたった時。
葵は──倒れた。
そこでようやく、貴沙は理解したのだ。
自分が持つ魔気が、人間を弱らせる事実を。
知らなかったわけではない。
ただ、どの程度弱るのかなんて、これまで人間と付き合ったことがなかったから知らなかったのだ。
このまま、葵の元へ通い続ければ、彼女は死んでしまうかもしれない。
そこで、身を引く──あいにく貴沙は、そんなタマではなかった。
「へぇ、海族にはそんな面白い珠があるのね」
魔力は弱いが、無駄に知識だけは持っている魔族を軽く『暴き』、貴沙はその情報を手に入れたのだ。
人間と、一番上手に付き合える種族が、そいつらだったのだ。
能力を裏返す珠。
貴沙の魔力は、天力に裏返るのだろうか。
それはそれで、面白そうだった。
もし、彼女が天力を得たなら、魔族の全てを自由に暴けるようになる。
勿論、相手の魔力も自分に強く効くようになるだろうが、それもまた一興。
何より。
天力は、人間にとっては幸福を産む力、と言われていた。
天族は滅多に人間には接触しないようだが、魔力とは逆の意味で作用するのだろう。
だから貴沙は。
海族の世界へと、身ひとつで飛び込んだのだ。
魔と天の力が交錯するそこは、彼女にとって悪い戦場ではなかった。
そして。
「はぁい」
ズブ濡れの魔女は、葵の部屋に降り立った。
「どうしたの?」
横になっていた彼女が、驚いて起き上がる。
「ちょっと海まで、ね…それより面白いものを手に入れたわ」
濡れたままベッドの端に腰かけ、手のひらを開いて見せる。
虹色の真珠ほどの──美しい海の宝だった。


