「しかし、いきなりエンドリン家の婚約者を殺そうなんて…穏やかじゃないね」
ソファに対面で座る。
向かいには、トゥーイ一人。
真理は、早紀を膝の上に抱えたまま。
零子は、斜め後方から立ったままこちらを見ていた。
エンドリン家──タミのことだ。
婚約者ではない。
しかし、その否定は無意味だろう。
同じ家に、既に住んでいたのだ。
周囲にはそう思われていても、不思議ではなかった。
ハイクラスの魔女を雇用していたなど、信じる方が少ないだろう。
「痴情のもつれ…というわけではないんだろうし…何事かな?」
トゥーイの視線が、腕の中の早紀に向く。
「痴情のもつれだ」
真理は、淀みなくうそぶいた。
本当のことを、この男に言えるはずなどないのだ。
大体、こんなところに連れてこられたこと自体、本意ではない。
さっさと帰ってしまいたかった。
「はっ…うすら寒い嘘だな」
「嘘?」
トゥーイの言葉を、真理は冷たい疑問形で返した。
そう。
彼は、冷たい嘘をつこうとしたのだ。
「イデルグの双子と、俺がどうなったか…知っているだろう?」
この男が、先日の情報を知らないはずがない。
自分の嫌な過去さえも、いまの真理は利用する気だった。
「まさか…」
トゥーイは、微かに鼻白んだ。
「あの女は、早紀を泣かせた」
早紀を、軽く抱きなおす。
何の抵抗もない。
もう、考える気力など、彼女には残っていないのだろう。
「君らしくない…」
疑いが、ほんの少し掠れる。
もう一押しか。
「らしくなくて…結構だ」
真理は、彼女をもう少し引き上げた。
ためらいなく、口づける。
真理の唇より──冷たかった。
ソファに対面で座る。
向かいには、トゥーイ一人。
真理は、早紀を膝の上に抱えたまま。
零子は、斜め後方から立ったままこちらを見ていた。
エンドリン家──タミのことだ。
婚約者ではない。
しかし、その否定は無意味だろう。
同じ家に、既に住んでいたのだ。
周囲にはそう思われていても、不思議ではなかった。
ハイクラスの魔女を雇用していたなど、信じる方が少ないだろう。
「痴情のもつれ…というわけではないんだろうし…何事かな?」
トゥーイの視線が、腕の中の早紀に向く。
「痴情のもつれだ」
真理は、淀みなくうそぶいた。
本当のことを、この男に言えるはずなどないのだ。
大体、こんなところに連れてこられたこと自体、本意ではない。
さっさと帰ってしまいたかった。
「はっ…うすら寒い嘘だな」
「嘘?」
トゥーイの言葉を、真理は冷たい疑問形で返した。
そう。
彼は、冷たい嘘をつこうとしたのだ。
「イデルグの双子と、俺がどうなったか…知っているだろう?」
この男が、先日の情報を知らないはずがない。
自分の嫌な過去さえも、いまの真理は利用する気だった。
「まさか…」
トゥーイは、微かに鼻白んだ。
「あの女は、早紀を泣かせた」
早紀を、軽く抱きなおす。
何の抵抗もない。
もう、考える気力など、彼女には残っていないのだろう。
「君らしくない…」
疑いが、ほんの少し掠れる。
もう一押しか。
「らしくなくて…結構だ」
真理は、彼女をもう少し引き上げた。
ためらいなく、口づける。
真理の唇より──冷たかった。


