極東4th

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 夢に、歩いて入ったのは初めてだ。

 眠りに落ちていく感覚が、ひたひたと早紀の身体に染みゆく。

 染みゆくごとに、彼女はよりリアルに自分の歩みを自覚するのだ。

「早かったな…」

 その足の向こうに――彼はいた。

 黒い黒い鎧の男。

 つい少し前に会った時は、鎧からは刺がたくさん突き出ていたが、いまそれは見えない。

「また、私は死んだの?」

 早紀は、歩いてきた方向を振り返りながら、微妙な気分で聞いてみた。

「オレと契約したせいだ。だから、自分で歩いてきたろ?」

 解説を受けても、早紀にはピンとこなかった。

 ただ、もう死ななくてもよいようだ。

 自分が何になったのか、早紀はまだ分かっていなかった。

 真理から詳しく聞く前に、意識が遠くなってしまったのだ。

 そりゃ、一日に二回も死ねば疲れて当然だ。

 笑い話にもならない、そんな奇妙な表現が、頭を掠める。

 気がかりなのは、自分がほぼ全裸のまま昏倒しているだろう事実。

「なんだ、浮かない顔だな」

 鎧の男は、ニヤついた声を出した。

 この黒い存在と、早紀は何か契約したらしい。

「私…どうなったの?」

 早紀の知識はまだ、自分が魔女だった、という一点のみだったのだ。

 はっ、と。

 兜の内側が、笑いに震えた。

「面白い、面白い…知らないまま二度も死んだのか…これは傑作だ」

 笑っても笑っても、その兜は光を反射しない。

 暗く暗く沈むだけ。

「いいぜ、魔女…教えてやろう」

 この世界に、本当は光がないのか。

 はたまた、光を吸い込み続けているのか。

 鎧は、右腕を上げた。

 指の先まで分厚い黒が覆っている。

「お前は…」

 彼は、その親指で。

 自分自身の胸を差した。

「お前は…この鎧になったんだ」

 早紀は――しばらくの間、考え込んだ。

 そして。

 やはり、理解できなかった。