「零子が、いきなり君の憑き魔女が『分かる』と言い出してね」
遠かったから、やむを得ずこの姿を借りたんだよ。
トゥーイは、せわしなくひとつ目を鎧の上で動かした。
「まあ、こんな空中で立ち話もなんだし…うちに来ないかい? おっと…お願いじゃなくて、強制だよ。こんなところで鎧姿で何をしていたか、告げ口されたくないだろう?」
立て板に水の勢いで、しかし真理の逃げ道をふさぐ言葉を吐く。
面倒な奴が。
真理は、内心で舌打ちした。
まだ、誰も殺してはいない。
だから、いくらでも現状をしらばっくれることは出来る。
しかし、1stの双子の息子に恥をかかせ、2ndには既に不審の眼で見られている今、何を告げ口されても面倒なことになるのは間違いなかった。
「このまま移動しよう…後で何か言われたら、演習中とでも答えておくさ」
そして──行きたくもない、3rdの屋敷に行く羽目となったのだ。
バルコニーに降りるなり、トゥーイは鎧を解いた。
零子も全て理解しているようで、人に戻るなりすぐさまバルコニーの戸を開けに動く。
「君も…解きなよ」
遅れて着地しながらも、真理は鎧を脱げずにいた。
まだ平静に戻れないでいるであろう早紀を、彼らの元にさらすことになる。
ふぅ。
覚悟を決めて、真理は鎧を脱いだ。
抜け殻となった鎧と向かい合う。
額を、なぞった。
瞬間。
泣き濡れた早紀の顔が現れ、そのまま前のめりに倒れこむ。
その身体を、真理は抱きとめた。
「どうしたんだい?」
彼の胸に顔をうずめたままの早紀に、怪訝な声が飛ぶ。
「…気にするな」
力の入っていない身体を、横抱きにするようにして、真理は室内へと入った。
「そんな…仲だったかな?」
「どうとでも…」
トゥーイの怪訝など、いまの彼には何の意味もない。
ただ。
早紀と、早紀の秘密を知る存在をどうすべきか──それだけが、最重要項目だったのだ。
遠かったから、やむを得ずこの姿を借りたんだよ。
トゥーイは、せわしなくひとつ目を鎧の上で動かした。
「まあ、こんな空中で立ち話もなんだし…うちに来ないかい? おっと…お願いじゃなくて、強制だよ。こんなところで鎧姿で何をしていたか、告げ口されたくないだろう?」
立て板に水の勢いで、しかし真理の逃げ道をふさぐ言葉を吐く。
面倒な奴が。
真理は、内心で舌打ちした。
まだ、誰も殺してはいない。
だから、いくらでも現状をしらばっくれることは出来る。
しかし、1stの双子の息子に恥をかかせ、2ndには既に不審の眼で見られている今、何を告げ口されても面倒なことになるのは間違いなかった。
「このまま移動しよう…後で何か言われたら、演習中とでも答えておくさ」
そして──行きたくもない、3rdの屋敷に行く羽目となったのだ。
バルコニーに降りるなり、トゥーイは鎧を解いた。
零子も全て理解しているようで、人に戻るなりすぐさまバルコニーの戸を開けに動く。
「君も…解きなよ」
遅れて着地しながらも、真理は鎧を脱げずにいた。
まだ平静に戻れないでいるであろう早紀を、彼らの元にさらすことになる。
ふぅ。
覚悟を決めて、真理は鎧を脱いだ。
抜け殻となった鎧と向かい合う。
額を、なぞった。
瞬間。
泣き濡れた早紀の顔が現れ、そのまま前のめりに倒れこむ。
その身体を、真理は抱きとめた。
「どうしたんだい?」
彼の胸に顔をうずめたままの早紀に、怪訝な声が飛ぶ。
「…気にするな」
力の入っていない身体を、横抱きにするようにして、真理は室内へと入った。
「そんな…仲だったかな?」
「どうとでも…」
トゥーイの怪訝など、いまの彼には何の意味もない。
ただ。
早紀と、早紀の秘密を知る存在をどうすべきか──それだけが、最重要項目だったのだ。


