極東4th

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 学校に、修平が来た。

「動いたよ…行き先は病院」

 耳打ちされた言葉に、真理は反射的に早紀の気配を探る。

 いやな気配ではなかったので放置していたが、どうやらタミが早紀を連れ出したようだ。

 病院。

 目的地に、右の瞼がぴくりと揺れた。

 ああ、なるほど。

 タミなりに、早紀の力の答えにたどり着こうとしたのか。

 餌は、早紀自身。

 彼女をあの人間の前にぶらさげれば、なんなりとしゃべり出すだろう。

「車は…?」

 修平に確認したが、そうするまでもなかった。

 チャリ、と鍵が掲げられたのだ。

 真理は、制服の上着を翻した。

 聞くのか?

 胸が、ざわざわとざわめく。

 先日、あの青が言い残した言葉が、真理の中に甦る。

 いや。

 あれからずっと、ずっと彼は考え続けていた。

 あの言葉の意味を。

 あれは。

 あれは、早紀が聞くべきものではない。

 真理でさえ持て余し、何の対処もできないでいる。

 車に乗り込みながら、彼は自分が焦っているのを感じた。

 近づいては遠ざかる、手に負えない女。

 聞いてしまえば。

 また早紀が──変わってしまう気がした。