真理と――遠くなった。
元々あった距離よりも、もっと遠く。
同じ車の中にいてなお、まったく無関係な生きもののように。
真理は、彼女を遠巻きに見るだけ。
早紀は、できうる限り、彼に接触しないようにした。
昼休み。
遠い真理のことと、育ての母のことを考えないようにしている早紀の元に――タミが来た。
扉のところで、ただつっ立っている彼女に驚く。
また、真理がイデルグの息子相手に、立ち回りでもしているのかと思いきや。
手を握り、顔を近付けてくる。
「人間に会いに行くわ…」
かすれるほどの、小さな小さな内緒話。
え?
タミを見つめるが、相手はそれ以上補足する気はないようだ。
人間。
早紀を誘ってまで会う相手など、一人しか思いつかない。
タミの視線が、斜め後ろにちらと投げられる。
そこにいたのは――真理、ではない。
濃厚な目元とまつげに、一瞬性別を間違いそうになるが、男物の制服の見知らぬ魔族がいたのだ。
見知らぬ、だが、同時に雰囲気はタミにそっくりだった。
兄、あるいは近い親族か。
彼が、人間の元へ連れて行ってくれるというのか。
「ただし…」
視線を早紀に戻した彼女が、言葉を付け足した。
空気が、小さくわななく。
タミの唇が、震わせたのだ。
「ただし…カシュメルには…秘密です」
元々あった距離よりも、もっと遠く。
同じ車の中にいてなお、まったく無関係な生きもののように。
真理は、彼女を遠巻きに見るだけ。
早紀は、できうる限り、彼に接触しないようにした。
昼休み。
遠い真理のことと、育ての母のことを考えないようにしている早紀の元に――タミが来た。
扉のところで、ただつっ立っている彼女に驚く。
また、真理がイデルグの息子相手に、立ち回りでもしているのかと思いきや。
手を握り、顔を近付けてくる。
「人間に会いに行くわ…」
かすれるほどの、小さな小さな内緒話。
え?
タミを見つめるが、相手はそれ以上補足する気はないようだ。
人間。
早紀を誘ってまで会う相手など、一人しか思いつかない。
タミの視線が、斜め後ろにちらと投げられる。
そこにいたのは――真理、ではない。
濃厚な目元とまつげに、一瞬性別を間違いそうになるが、男物の制服の見知らぬ魔族がいたのだ。
見知らぬ、だが、同時に雰囲気はタミにそっくりだった。
兄、あるいは近い親族か。
彼が、人間の元へ連れて行ってくれるというのか。
「ただし…」
視線を早紀に戻した彼女が、言葉を付け足した。
空気が、小さくわななく。
タミの唇が、震わせたのだ。
「ただし…カシュメルには…秘密です」


