極東4th

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「海族は、昔から人間と仲が良いの」

 気づいたら、早紀は自分のベッドの上だった。

 傍の椅子に座っているのは、タミで。

 その手が、彼女に延ばされている。

 ああ。

 そうか。

 門で真理ともめている時に、タミがやってきたのだ。

 その後、早紀は力が入らなくなった。

 おそらく、タミが必要以上の魔力を、彼女から抜いたのだろう。

 そして、部屋に連れ戻された、というワケか。

 タミという監視人つきで。

「魔と天の能力を融和出来るの…彼らは」

 昔、タミが語ったXとYの能力値を思い出す。

 海族は、魔と天の要素を持っていた。

 だから、人間に近づいても害を与えずに済む、と。

 そう彼女は言うのだ。

 そういえば。

 物語や昔話で、人間と海の中の何かが出会う話はよくある。

 乙姫様も、海族だったのだろうか。

 そんな海族に抱かれていた、育ての母。

 彼女は一体、何故こんなところに来たのか。

 伊瀬とどういう関係なのか。

「どこまで…聞いたの?」

 早紀は、深く長いため息をついた。

 魔力が減らされたせいか、門の前で起きた衝動は、すっかり鳴りをひそめてしまっている。

「カシュメル家から? いいえ、何も…私には嘘しか言わないわ、あの人は」

 その事実を、別に大したことではないと思っているタミの声。

 魔族同士、家同士ということを理解している声だ。

「私の家で、あなたのことをいろいろ調べたの」

 そして、タミは自分のしたことも隠さなかった。

「あなたの本当の母親が誰で、育ての親が人間なこと」

 そこで一度、彼女は言葉を切る。

「そして今日…」

 早紀に触れる指が、何かを探るように動いて。

「そして今日…海族があなたに近づくと、あなたの中の力が変化するのが分かったわ」

 わずかに口元が緩んだのは、それが嬉しかったからなのか。