極東4th

 誕生日の前日。

 朝。

 修平に廊下で声をかけられた時、本当に偶然に早紀を目にした。

 珍しく、その存在が目に留まったのだ。

 そして。

 賭けに出た。

 この女を、イケニエにしない最後の手段、だった。

 正確に言うと、魔女なしで「あれ」を手に入れる方法も、真理は知っていたのだ。

 ただし。

 その場合、魔女の能力は付加されず、能力そのものが低下する可能性があった。

 しかし、真理には自分の存在についてのプライドがある。

 自分の血と能力で、それを制御できると思っていたのだ。

 なのに。

 バカな出来損ないの魔女は、屋敷にいた。

 よりにもよって、修平に助けを求めていたのだ。

 彼は、早紀の味方でもなんでもないというのに。

 結局。

 真理は、それを運命だと理解した。

 この出来損ないの命を救うべく、彼にしては手を尽くした。

 それを、無駄にしたのもまた、この出来損ないだったのだ。

 せめて。

 最後の情報として、生まれ変わる可能性だけを教えてやった。

 彼の助言に従い、早紀が微かな望みをつなげることが出来れば──それもまた運命だと思ったのだ。

 出来損ないだと思った女は、その微かな望みをつないで、生まれ変わった。

 二度、死んだのだ。

 肉体を真理に殺され、魂を「あれ」に殺された。

 殺す側の二人に、早紀を受け入れる意思があった時だけに成立する契約。

 それが。

 いまの、早紀だ。

 彼女は、魔族と「あれ」のハーフになった。

 制御するのは、真理。

 その証を、早紀の額に記した。

 起きている間は真理の、寝ている間は「あれ」の──下僕になるという証。