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「ほらな…」
夢で、彼は両手を広げて見せた。
今日の出来事を、なんと簡潔に態度で現すのか。
真理がキレたという裏づけが、見事に取れましたよ──そう言いたいのだ。
しかし、声音はそれを歓迎していない。
早紀だって、歓迎するはずがなかった。
「馬鹿みたい」
早紀は、信じられなかった。
あの真理が、自分から二人にケンカを売ったというのだ。
タミが、そう教えてくれた。
それくらい、怒り心頭だったということか。
だが、馬鹿げている。
憑き魔女以外の部分の早紀など、どうなろうと知ったことではないくせに。
「困るのは、お前に対して馬鹿になることだぜ」
鎧の男は、唸るような声を出す。
最近、彼も機嫌が悪い。
「うん、困る…ほっといて欲しい」
下手に関わられると、早紀の中の弱い女の部分が、抉り出されてしまう。
今日、自分で抉り出したばかりのそれ。
一生懸命、早紀はそれを踏みつけようとしている。
そして、消してしまおうとしているのだ。
「いや…そうじゃない」
鎧が、言葉を濁す。
顎を彼女の方に向ける。
「お前という存在を、奴と俺は共有してるんだ…」
半分ずつの契約の話が、こんなところでちらつく。
それと、馬鹿にどんなつながりが。
「奴がまずい馬鹿になると…俺も馬鹿にならなきゃならなくなる」
腕が。
鎧が、早紀の腕を取る。
自分の方に引き寄せるように、強い力が加えられた。
間近に立つ、硬い身体。
手は離され、その指が早紀の額をこづいた。
いたっ。
まだ残る、噛まれた痛み。
そういえば。
二人に──噛まれた。
「ほらな…」
夢で、彼は両手を広げて見せた。
今日の出来事を、なんと簡潔に態度で現すのか。
真理がキレたという裏づけが、見事に取れましたよ──そう言いたいのだ。
しかし、声音はそれを歓迎していない。
早紀だって、歓迎するはずがなかった。
「馬鹿みたい」
早紀は、信じられなかった。
あの真理が、自分から二人にケンカを売ったというのだ。
タミが、そう教えてくれた。
それくらい、怒り心頭だったということか。
だが、馬鹿げている。
憑き魔女以外の部分の早紀など、どうなろうと知ったことではないくせに。
「困るのは、お前に対して馬鹿になることだぜ」
鎧の男は、唸るような声を出す。
最近、彼も機嫌が悪い。
「うん、困る…ほっといて欲しい」
下手に関わられると、早紀の中の弱い女の部分が、抉り出されてしまう。
今日、自分で抉り出したばかりのそれ。
一生懸命、早紀はそれを踏みつけようとしている。
そして、消してしまおうとしているのだ。
「いや…そうじゃない」
鎧が、言葉を濁す。
顎を彼女の方に向ける。
「お前という存在を、奴と俺は共有してるんだ…」
半分ずつの契約の話が、こんなところでちらつく。
それと、馬鹿にどんなつながりが。
「奴がまずい馬鹿になると…俺も馬鹿にならなきゃならなくなる」
腕が。
鎧が、早紀の腕を取る。
自分の方に引き寄せるように、強い力が加えられた。
間近に立つ、硬い身体。
手は離され、その指が早紀の額をこづいた。
いたっ。
まだ残る、噛まれた痛み。
そういえば。
二人に──噛まれた。


