---
「あー…」
夢の中で、彼が唸っていた。
実に、面白くなさそうに。
「なあ、嫌な予感が当たったろう?」
そして、早紀の顔を見るなり、そう言い放つのだ。
ああ。
心当たりがありすぎて、早紀は笑うことも出来ずに目を遠くへと泳がせた。
きっと彼は、イデルグの双子のことを言いたいのだろう。
鎧という立場から、どこまで現実世界のことを知っているかは分からないが。
だが。
「今日の当主のキレっぷりときたら、とんでもなかったぜ」
最初に彼の口から出たのは、イデルグのことではなく真理のことだった。
そうか。
鎧は早紀とつながっているが、きっと真理とも別の形でつながっているのだ。
だから、真理のことが分かるのだろう。
キレてたんだ。
早紀は、更にいやーな気分になる。
おとといも、昨日も、そして今日もいろいろあった。
真理にとっては、どれもこれも面白くないことの連続だったろう。
「おかげで、妙にお前さんに執着しはじめた」
ふぅと、鎧が嫌そうな音で言う。
「うーん、でもそれは…単なる持ち物の所有権とか、そういうレベルだから」
それくらい、早紀だってちゃんと理解している。
なのに。
兜が、早紀の方を向いて微かに傾いだ。
「じゃあなんで…」
声が、不意にひそめられる。
この空間には、二人きりしかいないというのに。
「じゃあなんで…お前は、あいつに好かれたがってるんだ?」
ガツン!
そんな音が聞こえた。
自分の頭の後ろの方。
『私のこと…好きじゃないくせに』
甦る、昼間の言葉。
早紀は真理に、何を求めたのか。
「だから、嫌な予感がしたっつったんだ…」
本当に不快そうに、もう一度鎧がそう言ったが──早紀は、自分の思考に取りつかれていて、耳には入らなかった。
「あー…」
夢の中で、彼が唸っていた。
実に、面白くなさそうに。
「なあ、嫌な予感が当たったろう?」
そして、早紀の顔を見るなり、そう言い放つのだ。
ああ。
心当たりがありすぎて、早紀は笑うことも出来ずに目を遠くへと泳がせた。
きっと彼は、イデルグの双子のことを言いたいのだろう。
鎧という立場から、どこまで現実世界のことを知っているかは分からないが。
だが。
「今日の当主のキレっぷりときたら、とんでもなかったぜ」
最初に彼の口から出たのは、イデルグのことではなく真理のことだった。
そうか。
鎧は早紀とつながっているが、きっと真理とも別の形でつながっているのだ。
だから、真理のことが分かるのだろう。
キレてたんだ。
早紀は、更にいやーな気分になる。
おとといも、昨日も、そして今日もいろいろあった。
真理にとっては、どれもこれも面白くないことの連続だったろう。
「おかげで、妙にお前さんに執着しはじめた」
ふぅと、鎧が嫌そうな音で言う。
「うーん、でもそれは…単なる持ち物の所有権とか、そういうレベルだから」
それくらい、早紀だってちゃんと理解している。
なのに。
兜が、早紀の方を向いて微かに傾いだ。
「じゃあなんで…」
声が、不意にひそめられる。
この空間には、二人きりしかいないというのに。
「じゃあなんで…お前は、あいつに好かれたがってるんだ?」
ガツン!
そんな音が聞こえた。
自分の頭の後ろの方。
『私のこと…好きじゃないくせに』
甦る、昼間の言葉。
早紀は真理に、何を求めたのか。
「だから、嫌な予感がしたっつったんだ…」
本当に不快そうに、もう一度鎧がそう言ったが──早紀は、自分の思考に取りつかれていて、耳には入らなかった。


