極東4th

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「あー…」

 夢の中で、彼が唸っていた。

 実に、面白くなさそうに。

「なあ、嫌な予感が当たったろう?」

 そして、早紀の顔を見るなり、そう言い放つのだ。

 ああ。

 心当たりがありすぎて、早紀は笑うことも出来ずに目を遠くへと泳がせた。

 きっと彼は、イデルグの双子のことを言いたいのだろう。

 鎧という立場から、どこまで現実世界のことを知っているかは分からないが。

 だが。

「今日の当主のキレっぷりときたら、とんでもなかったぜ」

 最初に彼の口から出たのは、イデルグのことではなく真理のことだった。

 そうか。

 鎧は早紀とつながっているが、きっと真理とも別の形でつながっているのだ。

 だから、真理のことが分かるのだろう。

 キレてたんだ。

 早紀は、更にいやーな気分になる。

 おとといも、昨日も、そして今日もいろいろあった。

 真理にとっては、どれもこれも面白くないことの連続だったろう。

「おかげで、妙にお前さんに執着しはじめた」

 ふぅと、鎧が嫌そうな音で言う。

「うーん、でもそれは…単なる持ち物の所有権とか、そういうレベルだから」

 それくらい、早紀だってちゃんと理解している。

 なのに。

 兜が、早紀の方を向いて微かに傾いだ。

「じゃあなんで…」

 声が、不意にひそめられる。

 この空間には、二人きりしかいないというのに。

「じゃあなんで…お前は、あいつに好かれたがってるんだ?」

 ガツン!

 そんな音が聞こえた。

 自分の頭の後ろの方。

『私のこと…好きじゃないくせに』

 甦る、昼間の言葉。

 早紀は真理に、何を求めたのか。

「だから、嫌な予感がしたっつったんだ…」

 本当に不快そうに、もう一度鎧がそう言ったが──早紀は、自分の思考に取りつかれていて、耳には入らなかった。