帰りついたら。
「ああ…」
タミが、軽く理解した声を出した。
真理は、一瞬だけ足を止めた後、全てを無視してさっさと屋敷に入ってしまった。
早紀は。
あ、あは、あは。
途方に暮れる笑いを心の中で浮かべながら、『それ』を見ていた。
屋敷の入り口にあったのは──大量の花、花、花。
むせかえるほどの香りが、たちのぼっている。
よほど、香りの強い花のようだ。
赤と黒が混じった薔薇のような花を、タミが一本抜き取る。
「あなたを、匂いで見つけるつもりかしら、あの脳筋は…」
タミは、この犯人を甲斐と睨んだようだ。
抜き取られた花が差し出され、早紀は反射的に受け取ってしまった。
うーん。
居心地が悪い。
真理は、全力で無視したようだが、これまでの様子からすると、非常に不機嫌になっているのは分かる。
更に、早紀としては非常に虚しい。
突然、周囲に好意を要求する男が増えてきたが、皆、別に彼女を好きなわけではないのだ。
それを勘違いして、舞いあがれるほど、お気楽な性格はしていなかった。
この花は、とても暗い華やかさがある。
彼女に似合うと思って送られたとは、到底思えなかった。
自分を産んだ母親ならば、間違いなく似合うのだろうが。
ため息をひとつついて、早紀は花をよけて屋敷へと入る。
二階へと上がり、自室に戻ろうとした時。
真理がまだ制服のまま、奥の部屋から出てきた。
つい、そっちを見てしまう。
真理も、遠いながらに早紀を見た。
随分、距離があるのに。
自分の手が──ひやりとした。
その手に握っているのは、タミにもらった1本の花。
あっと、慌てて花を身体の陰に隠す。
真理は、黙ったままこっちを見ている。
いたたまれなくなった早紀は。
逃げるように、自室に飛びこんだのだった。
「ああ…」
タミが、軽く理解した声を出した。
真理は、一瞬だけ足を止めた後、全てを無視してさっさと屋敷に入ってしまった。
早紀は。
あ、あは、あは。
途方に暮れる笑いを心の中で浮かべながら、『それ』を見ていた。
屋敷の入り口にあったのは──大量の花、花、花。
むせかえるほどの香りが、たちのぼっている。
よほど、香りの強い花のようだ。
赤と黒が混じった薔薇のような花を、タミが一本抜き取る。
「あなたを、匂いで見つけるつもりかしら、あの脳筋は…」
タミは、この犯人を甲斐と睨んだようだ。
抜き取られた花が差し出され、早紀は反射的に受け取ってしまった。
うーん。
居心地が悪い。
真理は、全力で無視したようだが、これまでの様子からすると、非常に不機嫌になっているのは分かる。
更に、早紀としては非常に虚しい。
突然、周囲に好意を要求する男が増えてきたが、皆、別に彼女を好きなわけではないのだ。
それを勘違いして、舞いあがれるほど、お気楽な性格はしていなかった。
この花は、とても暗い華やかさがある。
彼女に似合うと思って送られたとは、到底思えなかった。
自分を産んだ母親ならば、間違いなく似合うのだろうが。
ため息をひとつついて、早紀は花をよけて屋敷へと入る。
二階へと上がり、自室に戻ろうとした時。
真理がまだ制服のまま、奥の部屋から出てきた。
つい、そっちを見てしまう。
真理も、遠いながらに早紀を見た。
随分、距離があるのに。
自分の手が──ひやりとした。
その手に握っているのは、タミにもらった1本の花。
あっと、慌てて花を身体の陰に隠す。
真理は、黙ったままこっちを見ている。
いたたまれなくなった早紀は。
逃げるように、自室に飛びこんだのだった。


