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早紀は、帰りの車中、非常に気まずい気分を味わわされた。
昼休みに、あんなやりとりを真理としてしまったのだ。
噛み合うはずのない、『好意』という感情。
要求され、つっぱねた。
真理は黙ったままだが、早紀を無視したいつものだんまりとはワケが違う。
そして、この空間には。
「……」
タミもいた。
同居がはじまってから、彼女も一緒に通学するようになっていたのだ。
彼女は、ちょうど中央の席。
両側の微妙な異変に、無言で視線だけを投げてよこすのである。
制服姿だが、手袋はいつも通りだ。
その手袋の手が、軽く早紀の腕に触れている。
彼女の存在を、忘れないようにするための、タミなりの方法らしい。
特に拒む理由もないので、戸惑いながらもそれを受け入れていた。
「そういえば…」
その彼女が、微妙な空気を軽くつつくように声を発する。
どちらに向けて言おうとしているのか、分からないが、早紀は自分にではないだろうと思っていた。
「イデルグ卿の子息に、いろいろ聞かれましたわ…」
瞬間。
車内の空気が、冷凍された。
真理の、視線によって。
なんで、タミがイデルグの話を。
そう思いかけて、すぐに分かった。
タミは、1年なのだ。
そして──ハイクラス。
あの双子と、クラスメートなのである。
彼女が、カシュメル家にいるという情報を、どこからか仕入れたに違いない。
タミの視線が、早紀の方に向く。
真理ではなく。
「あなたの好きなものを、調べて欲しいと頼まれたのだけど…」
冷えゆく空気の中、彼女は淡々と早紀に向けて言葉を続ける。
いや、あの。
タミの向こう側のブリザードに気圧されて、早紀の唇は、あわあわと空回る。
「そんな義理はないから、『脳筋に付き合う暇はなくてよ』、と答えておいたわ」
よかったかしら?
早紀は、斜め上方を見ながら、タミの言葉に軽く汗をかいた。
ああ──どっちか分かった。
早紀は、帰りの車中、非常に気まずい気分を味わわされた。
昼休みに、あんなやりとりを真理としてしまったのだ。
噛み合うはずのない、『好意』という感情。
要求され、つっぱねた。
真理は黙ったままだが、早紀を無視したいつものだんまりとはワケが違う。
そして、この空間には。
「……」
タミもいた。
同居がはじまってから、彼女も一緒に通学するようになっていたのだ。
彼女は、ちょうど中央の席。
両側の微妙な異変に、無言で視線だけを投げてよこすのである。
制服姿だが、手袋はいつも通りだ。
その手袋の手が、軽く早紀の腕に触れている。
彼女の存在を、忘れないようにするための、タミなりの方法らしい。
特に拒む理由もないので、戸惑いながらもそれを受け入れていた。
「そういえば…」
その彼女が、微妙な空気を軽くつつくように声を発する。
どちらに向けて言おうとしているのか、分からないが、早紀は自分にではないだろうと思っていた。
「イデルグ卿の子息に、いろいろ聞かれましたわ…」
瞬間。
車内の空気が、冷凍された。
真理の、視線によって。
なんで、タミがイデルグの話を。
そう思いかけて、すぐに分かった。
タミは、1年なのだ。
そして──ハイクラス。
あの双子と、クラスメートなのである。
彼女が、カシュメル家にいるという情報を、どこからか仕入れたに違いない。
タミの視線が、早紀の方に向く。
真理ではなく。
「あなたの好きなものを、調べて欲しいと頼まれたのだけど…」
冷えゆく空気の中、彼女は淡々と早紀に向けて言葉を続ける。
いや、あの。
タミの向こう側のブリザードに気圧されて、早紀の唇は、あわあわと空回る。
「そんな義理はないから、『脳筋に付き合う暇はなくてよ』、と答えておいたわ」
よかったかしら?
早紀は、斜め上方を見ながら、タミの言葉に軽く汗をかいた。
ああ──どっちか分かった。


