極東4th

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「私のこと…好きじゃないくせに」

 意味が、分からなかった。

 さっき真理が言ったのは、早紀に自分を好きになれという話であって、それ以外の何物でもない。

 なのに、彼女の返答は、真理から早紀に向けての好意の話だったのだ。

 何故、そうなる。

 昼休み終了のベルで、ロークラスを出て行きながらも、真理は考え込んでいた。

 いつの間にか、自分のクラスに戻り、そして席に着きながら、早紀の意図を読み解こうとした。

 そして。

 もしや、と。

 真理は、ある答えに至る。

 もしや早紀は、自分との間に『対等』な好意の関係を、結びたいと思っているのか、と。

「………」

 どう。

 どう言えばいいのか。

 正直に言えば──考えたことがなかった。

 簡単に言えば、考えるに値しなかったことだ。

 当主と憑き魔女が、『対等』な感情の糸で結ばれるなど。

 主従に過ぎない。

 その従属側が、主人を尊敬したり好意を抱いたりは容易に想像がつくのだが、逆を想定したことがなかったのだ。

 早紀のことは。

 昔は、役立たずだと思った。

 憑き魔女にも値しないと思った。

 だが。

 結果から言えば、彼女は想像以上に有益な力を持っていた。

 持ちすぎていたと言っていい。

 しかし、それを自由に使いこなせてはいないし、その背景にはトラブルの匂いを抱えている。

 力そのものが、新たなトラブルの元凶になっているのもまた、間違いない。

 だが、彼女はカシュメルの鎧だ。

 真理が当主である間は、ずっとカシュメルのものであり続ける。

 だから?

 彼は、自問した。

 これまでに考えたことのないことに、結論を出そうとしたのだ。

 だから、自分は今、早紀のことをどう思っているのか、と。

「………」

 結論が──出るはずがなかった。