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「私のこと…好きじゃないくせに」
意味が、分からなかった。
さっき真理が言ったのは、早紀に自分を好きになれという話であって、それ以外の何物でもない。
なのに、彼女の返答は、真理から早紀に向けての好意の話だったのだ。
何故、そうなる。
昼休み終了のベルで、ロークラスを出て行きながらも、真理は考え込んでいた。
いつの間にか、自分のクラスに戻り、そして席に着きながら、早紀の意図を読み解こうとした。
そして。
もしや、と。
真理は、ある答えに至る。
もしや早紀は、自分との間に『対等』な好意の関係を、結びたいと思っているのか、と。
「………」
どう。
どう言えばいいのか。
正直に言えば──考えたことがなかった。
簡単に言えば、考えるに値しなかったことだ。
当主と憑き魔女が、『対等』な感情の糸で結ばれるなど。
主従に過ぎない。
その従属側が、主人を尊敬したり好意を抱いたりは容易に想像がつくのだが、逆を想定したことがなかったのだ。
早紀のことは。
昔は、役立たずだと思った。
憑き魔女にも値しないと思った。
だが。
結果から言えば、彼女は想像以上に有益な力を持っていた。
持ちすぎていたと言っていい。
しかし、それを自由に使いこなせてはいないし、その背景にはトラブルの匂いを抱えている。
力そのものが、新たなトラブルの元凶になっているのもまた、間違いない。
だが、彼女はカシュメルの鎧だ。
真理が当主である間は、ずっとカシュメルのものであり続ける。
だから?
彼は、自問した。
これまでに考えたことのないことに、結論を出そうとしたのだ。
だから、自分は今、早紀のことをどう思っているのか、と。
「………」
結論が──出るはずがなかった。
「私のこと…好きじゃないくせに」
意味が、分からなかった。
さっき真理が言ったのは、早紀に自分を好きになれという話であって、それ以外の何物でもない。
なのに、彼女の返答は、真理から早紀に向けての好意の話だったのだ。
何故、そうなる。
昼休み終了のベルで、ロークラスを出て行きながらも、真理は考え込んでいた。
いつの間にか、自分のクラスに戻り、そして席に着きながら、早紀の意図を読み解こうとした。
そして。
もしや、と。
真理は、ある答えに至る。
もしや早紀は、自分との間に『対等』な好意の関係を、結びたいと思っているのか、と。
「………」
どう。
どう言えばいいのか。
正直に言えば──考えたことがなかった。
簡単に言えば、考えるに値しなかったことだ。
当主と憑き魔女が、『対等』な感情の糸で結ばれるなど。
主従に過ぎない。
その従属側が、主人を尊敬したり好意を抱いたりは容易に想像がつくのだが、逆を想定したことがなかったのだ。
早紀のことは。
昔は、役立たずだと思った。
憑き魔女にも値しないと思った。
だが。
結果から言えば、彼女は想像以上に有益な力を持っていた。
持ちすぎていたと言っていい。
しかし、それを自由に使いこなせてはいないし、その背景にはトラブルの匂いを抱えている。
力そのものが、新たなトラブルの元凶になっているのもまた、間違いない。
だが、彼女はカシュメルの鎧だ。
真理が当主である間は、ずっとカシュメルのものであり続ける。
だから?
彼は、自問した。
これまでに考えたことのないことに、結論を出そうとしたのだ。
だから、自分は今、早紀のことをどう思っているのか、と。
「………」
結論が──出るはずがなかった。


