極東4th

 冷たい外気が──肌を撫でた。

 早紀は、自分の素足が床を踏みしめているのに気づく。

 目の前には、真理。

 しかし、いまはもう見下ろす角度ではなく、早紀が見上げる角度だった。

「あ…」

 声が、出た。

 腕も動く。

 自分の顔に、触れる。

 金属の気配も何もない、普通の柔らかさだ。

「なんだって?」

 修平が、驚きながら足元の干からびた少女と、立っている早紀を見比べる動きをした。

 早紀もつい。

 足元を見てしまった。

 制服姿の少女のミイラ。

 しかしもう、血は一滴も残っていないようだ。

 床さえ汚れていない。

「私…」

 自分の声が、少し違うように感じながらも、早紀は言葉を探した。

 真理に問うべきことがあったのだ。

 最重要の疑問がひとつ。

「私…魔女なの?」

 瞬間。

 真理は、眉間を押さえた。

 その様子は、何と言ったらいいのだろうか。

 失望というか、落胆というか、呆れというか。

「お前は、いままで自分が何の学校に通っていたのか知らなかったのか」

 頭が痛そうに顔を顰めながら、真理は上着を脱ぎ始めた。

 脱いだそれを、早紀に放り投げる。

 学校?

 反射的に服を受け取りながら、真理の言葉を組み立てようとした時。

 それよりも重要な事実に気づいた。

 何故、彼が上着を投げたのか。

 そう。

「……!」

 早紀は──まっぱだかだったのだ。