極東4th

 あの真理が。

 あの真理が──早紀と話でもするか、と。

 呆然としながら、彼女はさっき起きた出来事を、頭の中で反芻していた。

 しかも、今も真理は目の前にいるのだ。

 椅子に腰掛けて。

 だが、やっぱり真理だ。

 この状況を、ヨシとはしていない顔だった。

 おそらく、さっきの美濃のせいに違いない。

「あの…」

 こんな不自然な会話は、正しく成立するはずがないのだ。

 早紀は、そう悟った。

「あの…さっきのは、本当に別に大した話は…」

 とんでもない話は聞きはしたが、彼女はそれにとりあえずフタをかぶせる。

 いまはとにかく、真理を立ち上がらせ、この教室から出て行かせようと思ったのだ。

 目が。

 真理の目が、こちらをじっと見る。

 いつもと違うように感じるのは、目の高さの違いか。

 お互い、椅子に座っているせいで、いつもより近い高さに感じる。

 まるで。

 そう、まるで。

 真理が一段降りて、早紀の高さに近づいてくれたような。

 あ、ありえないから!

 早紀は、大慌てでいま考えた自分の思考を否定した。

 あの真理が、憑き魔女ごときと同じ高さに降りるはずがない。

 あの真理なのだ。

 あの──


「お前は…俺が嫌いか?」


 …。

 ……。

 ………。

 い、いま。

 いま、何か、すごいセリフを聞いた気がする。