極東4th

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「あぁ…」

 非常に不愉快な声を、美濃が吐いた。

 話の途中、いきなりの出来事だったため、早紀は身を硬くしたのだ。

 何か、自分に対してひどいことを言われそうな気がしたのである。

 しかし。

 美濃の視線が、目の前の早紀から教室の入り口に向けられた時、その理由がはっきりした。

 真理が──こっちを見ていたのだ。

 どこに目がついているのか。

 以前の、トゥーイ訪問の時も、同じようなことがあった。

 いつの間にか、彼がそれを見ているのだ。

 こ、これは。

 早紀は、うっすらと汗をかきながら、言い訳したい気分にかられる。

 確かに、彼女は美濃がいることを許容した。

 相手が下手に出ていたから、断りにくかったということもあるのだが。

 それでも、イデルグの息子と話をしていた事実は、真理には面白くないのだろう。

 彼が、戦いで順位を争う家系なのだから。

「大したつながりだな…よく気づくものだ」

 ふぅと、大きく息を吐いて、美濃は席を立ち上がる。

 真理の視線が、彼を追い出そうとしているのだ。

「もし、俺を頼ることがあれば、一年のハイクラスに来い…いつでも話を聞こう」

 最後に一言。

 早紀には、やわらかい言葉を残して、美濃は真理のいる出口の方へと向かった。

 え?

 自分が美濃に頼るケースは想像つかなかったが、もう一つ引っかかる言葉があったのだ。

 え? え?

 つい、その大きな背中を見送る。

 真理の近くに立つと、体格差がなおさら明らかだ。

 い…一年って。

 なのに、彼はああ見えて年下だったのである。

「話をしていただけですよ…勿論、彼女の同意の上でね」

 そして。

 美濃は、真理にも一言を残した。

 その内容は、真理の視線を彼女に向けさせるには、十分すぎるもので。

 まさに──余計なひと言だった。