「面倒くさいな…」
そう言ったのは──鎧の男だった。
夢の中。
リボンもない軽くなった髪を見て、彼はそう言ったのだ。
「うん…面倒くさいみたい」
自分の髪ではなく、イデルグ事件のことだと思い、早紀はあっさりと同意する。
「先代が、憑き魔女を持ってたせいだろう」
妙な知恵がありやがる。
男は、ため息のように言葉を吐き出した。
イラついて見える。
珍しい姿だ。
「先代って?」
「イデルグ家の先代だ」
早紀の質問は、間髪入れず返答が投げられた。
そうか、と早紀は理解したのだ。
鎧は、代々受け継がれているもの。
ということは、このカシュメルの鎧は、他の3人の家系や歴史もある程度知っているということである。
「だから、奴は憑き魔女が子を成せると知ってるんだ…何しろ、自分が父親と憑き魔女の子だからな」
当たり前のように口に出された言葉は──衝撃的だった。
あの、イデルグのトップの母親が、憑き魔女だというのだ。
「二人の兄を押しのけて、一番下賤な血筋の男が家督を奪った話は…このオレにさえ聞こえるほどだったぜ」
本来、戦いでしか使われない鎧にさえ届く噂。
相当な、スキャンダルだったのだろう。
「そのせいだろうな…お前の血をイデルグに入れたいなんて、酔狂なことを考えるのは」
要するに。
イデルグは、家系の血の濃さとか高級感とか、まったく気にしない男なのだ。
それでも、1stを取った。
彼の強さの証。
「まあ、イデルグの子を孕んだ状態で、カシュメルの鎧になった時…一体どうなるか…興味がないわけじゃないがな」
ぼそっと。
鎧の男が、とんでもない事を言い出す。
モラルのない戦いのみへの欲望が、そんなことを語らせるのか。
変な興味、持たないで。
早紀は、遠い目をしてしまった。
そう言ったのは──鎧の男だった。
夢の中。
リボンもない軽くなった髪を見て、彼はそう言ったのだ。
「うん…面倒くさいみたい」
自分の髪ではなく、イデルグ事件のことだと思い、早紀はあっさりと同意する。
「先代が、憑き魔女を持ってたせいだろう」
妙な知恵がありやがる。
男は、ため息のように言葉を吐き出した。
イラついて見える。
珍しい姿だ。
「先代って?」
「イデルグ家の先代だ」
早紀の質問は、間髪入れず返答が投げられた。
そうか、と早紀は理解したのだ。
鎧は、代々受け継がれているもの。
ということは、このカシュメルの鎧は、他の3人の家系や歴史もある程度知っているということである。
「だから、奴は憑き魔女が子を成せると知ってるんだ…何しろ、自分が父親と憑き魔女の子だからな」
当たり前のように口に出された言葉は──衝撃的だった。
あの、イデルグのトップの母親が、憑き魔女だというのだ。
「二人の兄を押しのけて、一番下賤な血筋の男が家督を奪った話は…このオレにさえ聞こえるほどだったぜ」
本来、戦いでしか使われない鎧にさえ届く噂。
相当な、スキャンダルだったのだろう。
「そのせいだろうな…お前の血をイデルグに入れたいなんて、酔狂なことを考えるのは」
要するに。
イデルグは、家系の血の濃さとか高級感とか、まったく気にしない男なのだ。
それでも、1stを取った。
彼の強さの証。
「まあ、イデルグの子を孕んだ状態で、カシュメルの鎧になった時…一体どうなるか…興味がないわけじゃないがな」
ぼそっと。
鎧の男が、とんでもない事を言い出す。
モラルのない戦いのみへの欲望が、そんなことを語らせるのか。
変な興味、持たないで。
早紀は、遠い目をしてしまった。


