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これまで、外部と接触する機会は、本当に少なかった。
早紀は、それを身にしみて感じたのだ。
子供の頃の、母とのぼやけた記憶、空気のような学校、そして縁の切れてしまった伊瀬。
彼女の知る外部の世界など、そんなものだった。
真理の鎧となることで、他の鎧の者たちと接触することも起きたが、それはあくまでも鎧の立場として、の話だ。
彼女が、メインになることはない。
なのに。
イデルグ家で、いきなり早紀はメインディッシュに据えられてしまった。
イデルグの当主に、そして双子の息子に。
甲斐の言葉から推測するならば、彼は早紀との間に子供を望んでいる。
彼女が魅力的だから、という意味ではない。
それくらい、分かっている。
相手は、彼女の名前さえ知らなかったのだから。
おそらく。
早紀の能力を持つ子が、欲しいのだ。
そんなに、魔族に効く力が欲しいのだろうか。
「…双子とは、関わるな」
真理の声に、早紀はびくっとした。
イデルグ家からの帰り道──車の中であることを、すっかり忘れていたのだ。
関わりたいわけではない。
子供のことも、余りに飛躍しすぎていて、冗談としか思えないほどである。
「それと…」
答えない早紀など気にせず、真理は言葉を続けた。
一瞬止まった言葉に、ふっと彼女の意識が引っ張られる。
「それと…ベルガー卿には…注意しておけ」
珍しく、歯切れの悪い言葉。
言うべきか言わないべきか、そんな葛藤でもあったのだろうか。
1stの次は、2ndの話ときた。
それもまた、彼女の能力のせいなのか。
「面倒くさいなあ…」
ぽつりと、早紀は呟いていた。
はっと口を押さえる。
いま、本当に無意識に、本音が口をついていたのだ。
真理に、冷たい息を吐かれるんではないかと、びくびくしながら彼を見ると。
「ああ、まったくだ…」
ため息をつきながら、彼はやはり本音を口にするではないか。
普通の会話が──成立してしまった。
これまで、外部と接触する機会は、本当に少なかった。
早紀は、それを身にしみて感じたのだ。
子供の頃の、母とのぼやけた記憶、空気のような学校、そして縁の切れてしまった伊瀬。
彼女の知る外部の世界など、そんなものだった。
真理の鎧となることで、他の鎧の者たちと接触することも起きたが、それはあくまでも鎧の立場として、の話だ。
彼女が、メインになることはない。
なのに。
イデルグ家で、いきなり早紀はメインディッシュに据えられてしまった。
イデルグの当主に、そして双子の息子に。
甲斐の言葉から推測するならば、彼は早紀との間に子供を望んでいる。
彼女が魅力的だから、という意味ではない。
それくらい、分かっている。
相手は、彼女の名前さえ知らなかったのだから。
おそらく。
早紀の能力を持つ子が、欲しいのだ。
そんなに、魔族に効く力が欲しいのだろうか。
「…双子とは、関わるな」
真理の声に、早紀はびくっとした。
イデルグ家からの帰り道──車の中であることを、すっかり忘れていたのだ。
関わりたいわけではない。
子供のことも、余りに飛躍しすぎていて、冗談としか思えないほどである。
「それと…」
答えない早紀など気にせず、真理は言葉を続けた。
一瞬止まった言葉に、ふっと彼女の意識が引っ張られる。
「それと…ベルガー卿には…注意しておけ」
珍しく、歯切れの悪い言葉。
言うべきか言わないべきか、そんな葛藤でもあったのだろうか。
1stの次は、2ndの話ときた。
それもまた、彼女の能力のせいなのか。
「面倒くさいなあ…」
ぽつりと、早紀は呟いていた。
はっと口を押さえる。
いま、本当に無意識に、本音が口をついていたのだ。
真理に、冷たい息を吐かれるんではないかと、びくびくしながら彼を見ると。
「ああ、まったくだ…」
ため息をつきながら、彼はやはり本音を口にするではないか。
普通の会話が──成立してしまった。


