極東4th

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 馬鹿馬鹿しい。

 イデルグ家の招待は、くだらないことだけだった。

 ダシにされ、イデルグの当主からは、ありえない提案をされ、挙句、双子の片割れはフライングをかましていたのだ。

 早紀に、不穏な魔力が近づいたことを、真理は感じていた。

 イデルグと、話をしている時のことだ。

 この屋敷は、極東1stのものである。

 そんなところに、外部から不審者が入り込むとは考えづらかった。

 その上、あの早紀を見つけた、ということだ。

 かなり力のある魔族──イデルグの身内と考えるのが、妥当だった。

「その件は…お断りします」

 当主の申し出を、真理は一言で切って捨てた。

 一考にも値しなかったのだ。

 答えながらも、軽く宙を探していた。

 不穏な魔力の、出所を追うために。

「断るか…って、どこに行く気だ?」

 彼の行動に、イデルグは不審な声をあげた。

 真理が、ソファから立ち上がったのだ。

「あなたの息子のどちらかが、うちの憑き魔女に絡んでいるようです」

 今日の彼の話を、息子たちに既にしているというのなら、早紀を探そうと思っても不思議ではない。

 家督を争っている最中ならば、なおのこと、競争相手を出し抜きたいだろう。

「ああ、なるほど…それはアリだな」

 面白そうに、イデルグが笑う。

 少しの食い違いを感じた。

 真理の言葉に反応したというよりは、自分の中の言葉に納得した、という風なのだ。

「たとえお前さんが断っても…魔女が断らない、という可能性もある、というわけだ」

 ニヤニヤと、イデルグは笑う。

 魔女という存在の不確定さを、誰よりも知っているといわんばかりのしたり顔で。

 ああ。

 真理は、忌々しくその言葉を理解した。

 ああ、そうか、と。

 最初から、イデルグはそのつもりだったのだ。

 真理に話を通したのは、単なる形式。

 最初から、双子を早紀にけしかけるつもりだったわけだ──彼女の心を、奪わせるために。