「初めまして、カシュメル卿」
手をひらりと振って、男が入ってくる。
甲斐によく似た男──おそらく、間違いなく双子の片割れだろう。
ただ、甲斐ほど肉体を鍛えることには、執着していないようだ。
髪も綺麗に撫でつけているため、やや落ち着きを感じる。
ただし。
真理に対する態度は、兄弟そろって大差ない。
鎧持ちの男に、ずさんな挨拶なのだから。
そして、真理をかわすと、自分の兄弟の方へと歩みを進める。
兄弟ゲンカでも起きるのかと、早紀がやや身を引いて身構えると。
男は。
甲斐さえも、スルーしたのだ。
そんな彼が、下がった早紀の前で足を止める。
「私は美濃…お前の名前は?」
今日──二度目の出来事だった。
名前を聞かれるという。
この兄弟は、どうして早紀の名前を聞こうとするのか。
甲斐に至っては、更にひどい言葉を続けたのだが。
「おい…どういうつもりだ」
彼女が答える前に、美濃の身体は兄弟に遮られた。
甲斐のたくましい腕が、彼女の前に突き出されたのだ。
「どういうつもり…? それは私の言葉だ…順序も考えられぬサルが」
上背は同じくらい。
早紀より遥かに高い二人が、今にも胸をぶつけあわんばかりに睨みあっている。
え、えーっと。
やはり、兄弟ゲンカに発展しそうな雰囲気に、早紀は周囲を見回した。
真理は、憮然とした表情のまま、イデルグの双子を見ている。
その目が。
早紀の視線に、気づいた。
軽く。
ほんの少しだけ。
顎が動いた。
くいっと、微かに早紀につながる糸を引くように。
あっ。
どきっとした。
いま、真理に──来い、と呼ばれた気がしたのだ。
手をひらりと振って、男が入ってくる。
甲斐によく似た男──おそらく、間違いなく双子の片割れだろう。
ただ、甲斐ほど肉体を鍛えることには、執着していないようだ。
髪も綺麗に撫でつけているため、やや落ち着きを感じる。
ただし。
真理に対する態度は、兄弟そろって大差ない。
鎧持ちの男に、ずさんな挨拶なのだから。
そして、真理をかわすと、自分の兄弟の方へと歩みを進める。
兄弟ゲンカでも起きるのかと、早紀がやや身を引いて身構えると。
男は。
甲斐さえも、スルーしたのだ。
そんな彼が、下がった早紀の前で足を止める。
「私は美濃…お前の名前は?」
今日──二度目の出来事だった。
名前を聞かれるという。
この兄弟は、どうして早紀の名前を聞こうとするのか。
甲斐に至っては、更にひどい言葉を続けたのだが。
「おい…どういうつもりだ」
彼女が答える前に、美濃の身体は兄弟に遮られた。
甲斐のたくましい腕が、彼女の前に突き出されたのだ。
「どういうつもり…? それは私の言葉だ…順序も考えられぬサルが」
上背は同じくらい。
早紀より遥かに高い二人が、今にも胸をぶつけあわんばかりに睨みあっている。
え、えーっと。
やはり、兄弟ゲンカに発展しそうな雰囲気に、早紀は周囲を見回した。
真理は、憮然とした表情のまま、イデルグの双子を見ている。
その目が。
早紀の視線に、気づいた。
軽く。
ほんの少しだけ。
顎が動いた。
くいっと、微かに早紀につながる糸を引くように。
あっ。
どきっとした。
いま、真理に──来い、と呼ばれた気がしたのだ。


