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「あれは、憑き魔女ですよ」
真理は、非難めいた冷気を隠せなかった。
憑き魔女を奪うという意味を、イデルグに分からないはずはない。
「知ってるとも…勿論、仕事の妨げにはせんさ。正妻に出来ないのは、百も承知だからな」
問題になる点を、彼は軽くかわした。
正妻に出来ない。
その意味は、真理にも分かっている。
憑き魔女である上に、早紀の身分は低いのだ。
「だがな…よく考えてみろ」
イデルグは、アルコールの混じった魔気を吐く。
真理の作る低い室温を、上げるかのように。
「あの特異な能力の娘が、誰の子も産まずに朽ち果てるのは…余りに惜しいだろう?」
その温度を。
再び真理は、確実に二度下げた。
イデルグの言わんとしている意味を理解し、そして、それを言われるまで理解していなかった自分に対して、だ。
特異な能力。
その能力を、煙たがる者がいるのならば、欲しがる者もまた、いてもおかしくない。
「お前さんも気づいているだろう? あの能力で、お前さんは遠からず3rdに上がる。2ndも遠くない」
1stまで上がると言わないのは、イデルグが簡単には譲らないという意味だろう。
「だがな…本当に、あの娘の能力を使いこなせば…極東エリアの蝕の話だけでは済まんぞ」
言いたいことは、よく分かった。
気に入らない魔族を、簡単に葬り去ることだって出来る。
その力だけで、他の魔族を屈服させる脅しにもなるだろう。
早紀の能力が、遺伝すれば──これからの魔族の中心になることも可能なのだ。
地位の高い者との子であれば、尚更、その道は楽になる。
貴沙の娘だから、つぶされたくないというのも、確かにイデルグにはあるだろう。
しかし、早紀の能力を血筋として欲しいと言っているのもまた、事実なのだ。
それを、あけっぴろげに真理に言ってしまうところが、またイデルグなのだろうが。
どこから、何を考えるべきか。
真理は、珍しく混乱していた。
しかし、混乱は長くは続かない。
ざわりと、嫌な気配が首筋を走ったのだ。
「あれは、憑き魔女ですよ」
真理は、非難めいた冷気を隠せなかった。
憑き魔女を奪うという意味を、イデルグに分からないはずはない。
「知ってるとも…勿論、仕事の妨げにはせんさ。正妻に出来ないのは、百も承知だからな」
問題になる点を、彼は軽くかわした。
正妻に出来ない。
その意味は、真理にも分かっている。
憑き魔女である上に、早紀の身分は低いのだ。
「だがな…よく考えてみろ」
イデルグは、アルコールの混じった魔気を吐く。
真理の作る低い室温を、上げるかのように。
「あの特異な能力の娘が、誰の子も産まずに朽ち果てるのは…余りに惜しいだろう?」
その温度を。
再び真理は、確実に二度下げた。
イデルグの言わんとしている意味を理解し、そして、それを言われるまで理解していなかった自分に対して、だ。
特異な能力。
その能力を、煙たがる者がいるのならば、欲しがる者もまた、いてもおかしくない。
「お前さんも気づいているだろう? あの能力で、お前さんは遠からず3rdに上がる。2ndも遠くない」
1stまで上がると言わないのは、イデルグが簡単には譲らないという意味だろう。
「だがな…本当に、あの娘の能力を使いこなせば…極東エリアの蝕の話だけでは済まんぞ」
言いたいことは、よく分かった。
気に入らない魔族を、簡単に葬り去ることだって出来る。
その力だけで、他の魔族を屈服させる脅しにもなるだろう。
早紀の能力が、遺伝すれば──これからの魔族の中心になることも可能なのだ。
地位の高い者との子であれば、尚更、その道は楽になる。
貴沙の娘だから、つぶされたくないというのも、確かにイデルグにはあるだろう。
しかし、早紀の能力を血筋として欲しいと言っているのもまた、事実なのだ。
それを、あけっぴろげに真理に言ってしまうところが、またイデルグなのだろうが。
どこから、何を考えるべきか。
真理は、珍しく混乱していた。
しかし、混乱は長くは続かない。
ざわりと、嫌な気配が首筋を走ったのだ。


