「マジか…」
早紀の存在を、声から認識するやいなや、イデルグの息子は目を見開いた。
ようやく、焦点の合った瞳。
そして。
「マジだ…こりゃ…すげえな」
笑い出す、大きな口。
おかしくてたまらないように、彼は身体をのけぞらせて笑う。
「なるほど…確かに、一筋縄じゃいかないぜ」
早紀に近づきながらも、彼の笑いは止まらない。
対する彼女は、どう反応したらいいのか分からなかった。
一体、どんな風にイデルグは、彼女のことを言ったのか。
「だが…面白い…面白いぞ、お前」
大きな手が。
がしっと、早紀の手首を掴んだ。
反射的に身を引こうとするが、掴まれた手はビクともしない。
「オレは、甲斐…お前は?」
魔族にしては、好奇心に満ち溢れた強いまなざし。
早紀が逃げたがっていることさえ、自分の欲望に正直過ぎて、気づいていないようだ。
「あ…」
引き結んだ唇を、動揺したせいで開いてしまった。
魔女ではなく、過去の早紀に戻ってしまう。
「あの…手…」
離して。
何とか、そこまで声に出来た。
「ん? ああ…いや、駄目だ。手を離したら、お前消えるだろ? 早く、名前を言え」
だが、向こうはさっぱり譲歩しなかった。
早紀の能力に対する衝撃が、彼に手を離させないのか。
こうなったら、とにかく早く名前を名乗って、解放してもらうしかない。
「さ…早紀」
空を切りそうになる唇で、ようやく名前を声にした。
「早紀か、了解…それじゃあ早紀…」
名前を、視線に乗せる、というのだろうか。
甲斐という男は、前よりも強いまなざしで彼女を見た。
そして──こう言った。
「早紀…オレの子を産まないか?」
早紀の存在を、声から認識するやいなや、イデルグの息子は目を見開いた。
ようやく、焦点の合った瞳。
そして。
「マジだ…こりゃ…すげえな」
笑い出す、大きな口。
おかしくてたまらないように、彼は身体をのけぞらせて笑う。
「なるほど…確かに、一筋縄じゃいかないぜ」
早紀に近づきながらも、彼の笑いは止まらない。
対する彼女は、どう反応したらいいのか分からなかった。
一体、どんな風にイデルグは、彼女のことを言ったのか。
「だが…面白い…面白いぞ、お前」
大きな手が。
がしっと、早紀の手首を掴んだ。
反射的に身を引こうとするが、掴まれた手はビクともしない。
「オレは、甲斐…お前は?」
魔族にしては、好奇心に満ち溢れた強いまなざし。
早紀が逃げたがっていることさえ、自分の欲望に正直過ぎて、気づいていないようだ。
「あ…」
引き結んだ唇を、動揺したせいで開いてしまった。
魔女ではなく、過去の早紀に戻ってしまう。
「あの…手…」
離して。
何とか、そこまで声に出来た。
「ん? ああ…いや、駄目だ。手を離したら、お前消えるだろ? 早く、名前を言え」
だが、向こうはさっぱり譲歩しなかった。
早紀の能力に対する衝撃が、彼に手を離させないのか。
こうなったら、とにかく早く名前を名乗って、解放してもらうしかない。
「さ…早紀」
空を切りそうになる唇で、ようやく名前を声にした。
「早紀か、了解…それじゃあ早紀…」
名前を、視線に乗せる、というのだろうか。
甲斐という男は、前よりも強いまなざしで彼女を見た。
そして──こう言った。
「早紀…オレの子を産まないか?」


