---
「近々…ベルガー卿にも、呼ばれるかもしれんぞ」
ソファに、深々と埋もれながら、イデルグは使用人に酒の手配をさせた。
真理はその向かいに腰を下ろしながら、彼の話を聞く。
ベルガー卿。
極東の2ndだ。
「ベルガー卿まで、貴沙という魔女に求婚でもしていたのですか?」
ため息をつきながら、真理は返す。
早紀の周囲が、とてつもなく騒々しくなってくる。
それは、非常に面白くないことだった。
「いや、違うな。ベルガー卿は、純粋にあの娘の能力に興味があるようだ」
ただし、悪い意味で、だ。
付け足された言葉に、真理は目を細めた。
悪い意味。
理解は出来た。
要するに、真理の鎧の能力を──邪魔だ、と思っているのだろう。
魔族の力は、物理能力以外は、魔族には効きづらい。
そこへ、イレギュラーの早紀が現れたのだ。
「あの娘の弱みを探って、お前さんを失脚させるかもしれんぞ」
同じ極東のメンバーとは言え、結局は魔族同士。
2ndの地位を脅かす可能性の高い真理の芽を、早いうちに摘んでおきたいのだろう。
事実、早紀には父親という弱味がある。
誰もまだ、その真実にたどり着いていないからこその弱味だ。
「そこで、だ…」
運ばれてきた酒を、イデルグは手に取った。
真理の前にも出されたが、手は伸ばさない。
「オレも、貴沙の娘がベルガー卿に食いものにされるのは、寝覚めが悪いからな…ひとつ提案がある」
ごくり、と酒を飲み干す太い喉。
「オレの息子のどっちかに、あの娘をくれてやる気はないか? オレの身内が絡めば、さすがのベルガー卿も手出しはしないだろう」
予想外すぎる提案だった。
イデルグは、本気そのものの顔で。
真理は、凍りついたままの顔で──しばし、見詰め合ってしまった。
「近々…ベルガー卿にも、呼ばれるかもしれんぞ」
ソファに、深々と埋もれながら、イデルグは使用人に酒の手配をさせた。
真理はその向かいに腰を下ろしながら、彼の話を聞く。
ベルガー卿。
極東の2ndだ。
「ベルガー卿まで、貴沙という魔女に求婚でもしていたのですか?」
ため息をつきながら、真理は返す。
早紀の周囲が、とてつもなく騒々しくなってくる。
それは、非常に面白くないことだった。
「いや、違うな。ベルガー卿は、純粋にあの娘の能力に興味があるようだ」
ただし、悪い意味で、だ。
付け足された言葉に、真理は目を細めた。
悪い意味。
理解は出来た。
要するに、真理の鎧の能力を──邪魔だ、と思っているのだろう。
魔族の力は、物理能力以外は、魔族には効きづらい。
そこへ、イレギュラーの早紀が現れたのだ。
「あの娘の弱みを探って、お前さんを失脚させるかもしれんぞ」
同じ極東のメンバーとは言え、結局は魔族同士。
2ndの地位を脅かす可能性の高い真理の芽を、早いうちに摘んでおきたいのだろう。
事実、早紀には父親という弱味がある。
誰もまだ、その真実にたどり着いていないからこその弱味だ。
「そこで、だ…」
運ばれてきた酒を、イデルグは手に取った。
真理の前にも出されたが、手は伸ばさない。
「オレも、貴沙の娘がベルガー卿に食いものにされるのは、寝覚めが悪いからな…ひとつ提案がある」
ごくり、と酒を飲み干す太い喉。
「オレの息子のどっちかに、あの娘をくれてやる気はないか? オレの身内が絡めば、さすがのベルガー卿も手出しはしないだろう」
予想外すぎる提案だった。
イデルグは、本気そのものの顔で。
真理は、凍りついたままの顔で──しばし、見詰め合ってしまった。


