ああ、そうか。
分かってきた。
『早紀』は、分かってきた。
自分は、死んだのだ。
真理に喉をかききられて。
ここは、死後の世界だろうか。
この鎧の存在は、死神だろうか。
何故、自分は魔女と呼ばれるのか。
そんなたくさんの疑問よりも。
そうか。
死んじゃったのか。
早紀は、小さなため息を落としていた。
図太く静かに、空気のように生きてきたが、それでも早紀は生き延びることは出来なかった。
記憶が、少しずつつながっていく。
自分が、真理のいる屋敷に引き取られたのも、何だか分からないこの死のためだと修平は言っていた。
むかしむかし、あるところに。
そんな都合のいいおとぎ話など、やっぱりなかったのだ。
そして、真理が自分を殺した。
何だろう。
その事実が、無性に悲しかった。
「そうね」
早紀は、棘だらけの鎧を抱きしめようと手を伸ばした。
「そうね…また、死んじゃおうか」
むかしむかし。
そんなおとぎ話さえ、思い出さないくらいの虚ろな存在になってしまいたかった。
躊躇なく。
早紀は、鎧を抱きしめた。
強く、強く。
いくつもの棘が、自分の身体を貫いたのを感じながら。
「何だ…泣いてやがるのか?」
馬鹿な奴だ。
鎧の男が──微かに笑った。
瞬間。
黒い炎が、鎧の男と自分を囲むように燃え上がった。
「合格だ、魔女…お前とひとつになってやろう」
早紀を刺し貫いた棘が、自分を絡め取るように伸び、鎧の中に取り込もうとする。
黒く冷たい金属の中に、彼女の身体は沈んでいく。
中は──からっぽだった。
空洞というより、空虚。
その隙間を埋めるように、早紀は取り込まれた。
「死×死が、何か知ってるか、魔女?」
鎧の内側を伝って、声が鼓動のように早紀に押し寄せる。
笑う、鼓動。
その鼓動に、自分が溶けていくのを感じながら――早紀は思考力を失って、意識を閉じたのだった。
分かってきた。
『早紀』は、分かってきた。
自分は、死んだのだ。
真理に喉をかききられて。
ここは、死後の世界だろうか。
この鎧の存在は、死神だろうか。
何故、自分は魔女と呼ばれるのか。
そんなたくさんの疑問よりも。
そうか。
死んじゃったのか。
早紀は、小さなため息を落としていた。
図太く静かに、空気のように生きてきたが、それでも早紀は生き延びることは出来なかった。
記憶が、少しずつつながっていく。
自分が、真理のいる屋敷に引き取られたのも、何だか分からないこの死のためだと修平は言っていた。
むかしむかし、あるところに。
そんな都合のいいおとぎ話など、やっぱりなかったのだ。
そして、真理が自分を殺した。
何だろう。
その事実が、無性に悲しかった。
「そうね」
早紀は、棘だらけの鎧を抱きしめようと手を伸ばした。
「そうね…また、死んじゃおうか」
むかしむかし。
そんなおとぎ話さえ、思い出さないくらいの虚ろな存在になってしまいたかった。
躊躇なく。
早紀は、鎧を抱きしめた。
強く、強く。
いくつもの棘が、自分の身体を貫いたのを感じながら。
「何だ…泣いてやがるのか?」
馬鹿な奴だ。
鎧の男が──微かに笑った。
瞬間。
黒い炎が、鎧の男と自分を囲むように燃え上がった。
「合格だ、魔女…お前とひとつになってやろう」
早紀を刺し貫いた棘が、自分を絡め取るように伸び、鎧の中に取り込もうとする。
黒く冷たい金属の中に、彼女の身体は沈んでいく。
中は──からっぽだった。
空洞というより、空虚。
その隙間を埋めるように、早紀は取り込まれた。
「死×死が、何か知ってるか、魔女?」
鎧の内側を伝って、声が鼓動のように早紀に押し寄せる。
笑う、鼓動。
その鼓動に、自分が溶けていくのを感じながら――早紀は思考力を失って、意識を閉じたのだった。


