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ダシ。
そんな言葉で片付けられて、真理は非常に不快だった。
血統を差し置いて、イデルグが早紀に会いたがっていたのだと分かったからだ。
しかも。
彼女の珍しい能力を知りたくて、などという理由ではなく。
晩餐室の席についた後も、イデルグは早紀を見ていた。
そうしていないと見失う可能性があるのだから、しょうがないのは分かるのだが。
おそらく、特殊な能力のせいで、彼女の出自を調べさせていたのだろう。
父親はともかく、母親まではすぐにたどれるのだから。
そして、母親はイデルグの知り合いだった。
正確には知り合いというより──
「貴沙は、あの当時…魔女の中でも問題児でな」
大きな手でグラスを持ち上げながら、1stは語り始める。
魔女が魔族の中での問題児なら、いつものことだと彼は言った。
わざわざ言葉にまで、されることはないのだと。
貴沙が、問題児と言われているのは。
「一人で天族にちょっかいをかけたり、海族を騒がせたり…騒々しい女だった」
イデルグの話に、早紀は唇を引き結んだまま。
ちらりと真理を見るのは、どう反応したらいいのか分からないからなのか。
「当時、オレは3rdでな。1stのカシュメル卿…いわゆる卿の先代に頼まれて、ちょっとばかし灸をすえることになったわけだ」
彼は、グラスを宙に軽く掲げた。
空間がひねられる。
歪んだ空間が戻った時。
その宙空には、魔女が現れた。
クラシカルなのは、マントと帽子だけ。
レザーのミニスカ、深く胸元の開いた服に、あらわなヘソ。
派手な化粧と、帽子から飛び出すように跳ねる髪。
そんな魔女が、こっちをとんがった目で睨んでいた。
イデルグがグラスを揺らすと、映像は波紋を生んだ後に消滅する。
「いい女だろう?」
彼は、早紀を見ながら言った。
「灸をすえるつもりが、こっちが火傷させられるハメになったんだからな」
貴沙の思い出と共に──彼は、グラスを飲みほしたようだった。
ダシ。
そんな言葉で片付けられて、真理は非常に不快だった。
血統を差し置いて、イデルグが早紀に会いたがっていたのだと分かったからだ。
しかも。
彼女の珍しい能力を知りたくて、などという理由ではなく。
晩餐室の席についた後も、イデルグは早紀を見ていた。
そうしていないと見失う可能性があるのだから、しょうがないのは分かるのだが。
おそらく、特殊な能力のせいで、彼女の出自を調べさせていたのだろう。
父親はともかく、母親まではすぐにたどれるのだから。
そして、母親はイデルグの知り合いだった。
正確には知り合いというより──
「貴沙は、あの当時…魔女の中でも問題児でな」
大きな手でグラスを持ち上げながら、1stは語り始める。
魔女が魔族の中での問題児なら、いつものことだと彼は言った。
わざわざ言葉にまで、されることはないのだと。
貴沙が、問題児と言われているのは。
「一人で天族にちょっかいをかけたり、海族を騒がせたり…騒々しい女だった」
イデルグの話に、早紀は唇を引き結んだまま。
ちらりと真理を見るのは、どう反応したらいいのか分からないからなのか。
「当時、オレは3rdでな。1stのカシュメル卿…いわゆる卿の先代に頼まれて、ちょっとばかし灸をすえることになったわけだ」
彼は、グラスを宙に軽く掲げた。
空間がひねられる。
歪んだ空間が戻った時。
その宙空には、魔女が現れた。
クラシカルなのは、マントと帽子だけ。
レザーのミニスカ、深く胸元の開いた服に、あらわなヘソ。
派手な化粧と、帽子から飛び出すように跳ねる髪。
そんな魔女が、こっちをとんがった目で睨んでいた。
イデルグがグラスを揺らすと、映像は波紋を生んだ後に消滅する。
「いい女だろう?」
彼は、早紀を見ながら言った。
「灸をすえるつもりが、こっちが火傷させられるハメになったんだからな」
貴沙の思い出と共に──彼は、グラスを飲みほしたようだった。


