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相手が女とはいえ。
身体を見られるのは、決して平気なわけではない。
しかも、相手はきちんとした姿をしているにも関わらず、自分はパンツ一枚の情けない姿だ。
さっきから、早紀の身体を眺めては、クローゼットからドレスを引っ張り出し、投げ捨て、また引っ張り出しを繰り返す。
「あの…一体何が…」
次の服を掴んで振り返ったタミは、それを彼女に押しつけるように突き出す。
「着て」
有無も言わさぬ迫力に気圧されながら、早紀はそれを握らされていた。
「今夜…イデルグ家に招待されているの」
服をいじっている彼女に、タミは続ける。
はっと顔を上げたが、向こうは早紀の反応よりも、服を着る作業に視線を向けたまま。
慌てて、早紀は服に頭と袖を通した。
イデルグ──1stの鎧の人だ。
真理の思考を通して、早紀にもわずかながらに他の鎧の主の知識がある。
鎧を持っているのだから、カシュメル家と負けず劣らずの家系なのだろう。
そこに。
誰が、招待されたというのか。
背中を長く走るファスナーに苦戦しながら、疑問を組み立てようとしていたが。
「あなたの主と…あなたがよ」
背中に回ったタミが、ジャッと一気にファスナーを引き上げる。
『主』
その表現に、どきっとした。
この心にある、どうしても断ち切れない何かを、言葉にするとそういうものになるのだろうか。
絶望し、死にかけたのはつい昨日のこと。
しかし、その死の崖っぷちで、断ち切れないそれを見てしまった。
そして。
その『主』なるものと重なる瞬間を、渇望してしまったのだ。
この感情は、鎧と一体化しているせいなのか。
鎧の男の感情が、早紀の中に流れ出しているのだろうか。
自分の感情に戸惑っている彼女を、タミがじっと見ている。
視線に気づいて、引け腰になっていると。
手袋の手が、伸ばされた。
「リボン…も、黒がいいわ」
言われて、はっとしていた。
いつも自然と髪に絡みついている、深い青のリボン。
一瞬だけ、伊瀬が脳裏をかすめる。
早紀は。
青のリボンを──外していた。
相手が女とはいえ。
身体を見られるのは、決して平気なわけではない。
しかも、相手はきちんとした姿をしているにも関わらず、自分はパンツ一枚の情けない姿だ。
さっきから、早紀の身体を眺めては、クローゼットからドレスを引っ張り出し、投げ捨て、また引っ張り出しを繰り返す。
「あの…一体何が…」
次の服を掴んで振り返ったタミは、それを彼女に押しつけるように突き出す。
「着て」
有無も言わさぬ迫力に気圧されながら、早紀はそれを握らされていた。
「今夜…イデルグ家に招待されているの」
服をいじっている彼女に、タミは続ける。
はっと顔を上げたが、向こうは早紀の反応よりも、服を着る作業に視線を向けたまま。
慌てて、早紀は服に頭と袖を通した。
イデルグ──1stの鎧の人だ。
真理の思考を通して、早紀にもわずかながらに他の鎧の主の知識がある。
鎧を持っているのだから、カシュメル家と負けず劣らずの家系なのだろう。
そこに。
誰が、招待されたというのか。
背中を長く走るファスナーに苦戦しながら、疑問を組み立てようとしていたが。
「あなたの主と…あなたがよ」
背中に回ったタミが、ジャッと一気にファスナーを引き上げる。
『主』
その表現に、どきっとした。
この心にある、どうしても断ち切れない何かを、言葉にするとそういうものになるのだろうか。
絶望し、死にかけたのはつい昨日のこと。
しかし、その死の崖っぷちで、断ち切れないそれを見てしまった。
そして。
その『主』なるものと重なる瞬間を、渇望してしまったのだ。
この感情は、鎧と一体化しているせいなのか。
鎧の男の感情が、早紀の中に流れ出しているのだろうか。
自分の感情に戸惑っている彼女を、タミがじっと見ている。
視線に気づいて、引け腰になっていると。
手袋の手が、伸ばされた。
「リボン…も、黒がいいわ」
言われて、はっとしていた。
いつも自然と髪に絡みついている、深い青のリボン。
一瞬だけ、伊瀬が脳裏をかすめる。
早紀は。
青のリボンを──外していた。


