極東4th

「よぉ、魔女」

 その声に、きょろきょろとする。

 なんだか暗いところ。

 魔女?

 放たれた言葉が、宙を飛んできたので、捕まえてみる。

 捕まえた時、自分に手があることに気づいた。

 その手につながる腕があり、自分に身体があることに気づいた。

 足もついている。

 真っ黒な服を着ていた。

「お前を呼んでんだ、魔女」

 自分の状態を確認していたことを邪魔するように、目の前に大きな影が飛んでくる。

 はっと顔を上げると。

 黒い男がいた。

 黒い鎧の男。

 たくさんの鋭い棘をもつ鎧。

 金属の黒というより、まったく光を反射しない重い黒。

「魔女…私?」

 声が、出た。

 無意識に喉に触ったが、異変はなかった。

 何故、異変があると思ったのだろう。

「ここに来た、ということは魔女に決まってるだろ…変な女だな」

 そのとげとげしい鎧の腕が、伸ばされる。

 怖いと思いかけたが、動けなかった。

 動くと、自分からその棘に刺さりそうな気がしたのだ。

「小娘か…どうりで青臭い味だったわけだ」

 伸ばされた腕は、どこも傷つけることなく、早紀の顎を捕らえる。

 見つめられているのは分かるが、こっちからは相手がよく分からない。

 黒い兜が、全てを覆い隠しているから。

 そんな鎧兜の存在は。

「まあいい…おかげで俺は甦ったからな…さあ、もう一度死のうじゃないか、魔女」

 笑ったような声で。

 さらりと。

 物凄いことを言った。

 もう一度?

 死のう?