かけるべき言葉。
そんなことに、何故自分は尽力しているのか。
その事実に、真理は眉を寄せた。
気をつかうべき相手では、決してない。
下僕相手に、探してまでかける言葉などありはしないのだ。
だが、真理は打ちすえる力も、罵る怒りも発揮できないままだった。
いっそこのまま。
早紀を置き去りに、部屋を出て行ってしまいたかった。
この場にいたくないとさえ、思い始めていたのだ。
しかし、ここは自室で。
早紀を追い出すべきだった。
『部屋に戻れ』
それだけ言えば、事は足りる。
足りるのだ。
それなのに──唇は動かない。
足も動かない。
俺は…どうしたいのだ。
真理の矛盾する心を、砕くものがあった。
ノックだ。
この、海水まみれの二人に、割って入ろうとするものがいる。
「タミです」
その声に、どこか安堵する自分がいた。
「入れ」
声が、出た。
さっきまでが嘘のようにあっさりと、当たり前のように言葉を発していた。
ドアを開けた彼女は、すぐに部屋の中に視線を走らせる。
早紀を探しているのだろう。
その視線が、水に濡れた床に注がれ──そして、ようやく見つけたようだった。
微かに、表情を緩める。
早紀が見つかったことを、喜んでいるのだろうか。
彼女は、真理へと視線を動かす。
そして。
「折檻されますか?」
涼しい声で、上に立つ魔族らしいことを言い放ったのだった。
そんなことに、何故自分は尽力しているのか。
その事実に、真理は眉を寄せた。
気をつかうべき相手では、決してない。
下僕相手に、探してまでかける言葉などありはしないのだ。
だが、真理は打ちすえる力も、罵る怒りも発揮できないままだった。
いっそこのまま。
早紀を置き去りに、部屋を出て行ってしまいたかった。
この場にいたくないとさえ、思い始めていたのだ。
しかし、ここは自室で。
早紀を追い出すべきだった。
『部屋に戻れ』
それだけ言えば、事は足りる。
足りるのだ。
それなのに──唇は動かない。
足も動かない。
俺は…どうしたいのだ。
真理の矛盾する心を、砕くものがあった。
ノックだ。
この、海水まみれの二人に、割って入ろうとするものがいる。
「タミです」
その声に、どこか安堵する自分がいた。
「入れ」
声が、出た。
さっきまでが嘘のようにあっさりと、当たり前のように言葉を発していた。
ドアを開けた彼女は、すぐに部屋の中に視線を走らせる。
早紀を探しているのだろう。
その視線が、水に濡れた床に注がれ──そして、ようやく見つけたようだった。
微かに、表情を緩める。
早紀が見つかったことを、喜んでいるのだろうか。
彼女は、真理へと視線を動かす。
そして。
「折檻されますか?」
涼しい声で、上に立つ魔族らしいことを言い放ったのだった。


