好意?
自分の思考に、嘲笑が浮かんだ。
どこの世界に、魔女に好意を持つ海族がいるのか。
そう思って、早紀の本当の母親の存在が頭を掠める。
海族と、何らかの関わりのある魔女。
死んでなお、娘を振り回し続ける。
確かに、その女の血を、早紀はきっちり引いている気がした。
でなければ、これほどまでに真理が振り回されることなどないのだろうから。
人畜無害のようにうなだれる魔女から、海水がしたたり落ちる。
彼がこのまましゃべらなければ、あと数十時間でもそのまま時を止め続けそうな気配だ。
理不尽だな。
その言葉は、山ほど彼の中で渦を巻き続ける。
だが。
早紀を打ちのめすほどの、強い怒りがわきあがらない。
それが、真理にも不思議だった。
いくら鎧の憑き魔女とは言え、死なない程度に怒りをぶつけることは出来るのだ。
それほどの屈辱を、この女は真理に与えたはずである。
逃亡し、海族の手に落ち、殺されかけ、それを当主自らに助けに行かせた。
憑き魔女でなければ、間違いなく万死に値する。
なのに、深く呼吸を繰り返しながら、早紀の前に立っているのだ。
おそらく、あきれかえっているのだ、自分は。
真理は、そう分析した。
あきれすぎて、怒りを通り越してしまったのだ、と。
だから、物も言えないでいる。
「………」
物も言えない自分にしびれをきらし、彼は唇を開きかけた。
しかし、声は出ない。
何を言えばいいのか──さっぱり分からなくなってしまった。
いつものように冷たく突き放し、部屋に戻せばいい。
二度と部屋から勝手に出ないよう、出入り口に魔錠でもかければいい。
なのに、真理は言葉を探せなかった。
そう。
彼は、早紀にかけるべき言葉を、無意識に探していたのだった。
自分の思考に、嘲笑が浮かんだ。
どこの世界に、魔女に好意を持つ海族がいるのか。
そう思って、早紀の本当の母親の存在が頭を掠める。
海族と、何らかの関わりのある魔女。
死んでなお、娘を振り回し続ける。
確かに、その女の血を、早紀はきっちり引いている気がした。
でなければ、これほどまでに真理が振り回されることなどないのだろうから。
人畜無害のようにうなだれる魔女から、海水がしたたり落ちる。
彼がこのまましゃべらなければ、あと数十時間でもそのまま時を止め続けそうな気配だ。
理不尽だな。
その言葉は、山ほど彼の中で渦を巻き続ける。
だが。
早紀を打ちのめすほどの、強い怒りがわきあがらない。
それが、真理にも不思議だった。
いくら鎧の憑き魔女とは言え、死なない程度に怒りをぶつけることは出来るのだ。
それほどの屈辱を、この女は真理に与えたはずである。
逃亡し、海族の手に落ち、殺されかけ、それを当主自らに助けに行かせた。
憑き魔女でなければ、間違いなく万死に値する。
なのに、深く呼吸を繰り返しながら、早紀の前に立っているのだ。
おそらく、あきれかえっているのだ、自分は。
真理は、そう分析した。
あきれすぎて、怒りを通り越してしまったのだ、と。
だから、物も言えないでいる。
「………」
物も言えない自分にしびれをきらし、彼は唇を開きかけた。
しかし、声は出ない。
何を言えばいいのか──さっぱり分からなくなってしまった。
いつものように冷たく突き放し、部屋に戻せばいい。
二度と部屋から勝手に出ないよう、出入り口に魔錠でもかければいい。
なのに、真理は言葉を探せなかった。
そう。
彼は、早紀にかけるべき言葉を、無意識に探していたのだった。


