極東4th

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「お困りのようですね」

 真理の部屋にやってきたのは、タミだった。

 早紀の探索については、修平に秘密裏に指示している。

 失踪そのものさえ、箝口令(かんこうれい)をしいているのだ。

 鎧の憑き魔女に逃げられ、まだ見つけられずにいるなど、カシュメルにとって悪い評判以外の何者でもない。

 しかし、間の悪い時に、他の一族の居候がいるもので。

「問題ない」

 真理は、彼女をカヤの外に追いやろうとした。

 タミは、白すぎるほど白い顔を、ほんの少しだけ緩めてみせる。

 彼女なりの、微笑みなのだろうか。

「私…彼女を探す方法、知ってますよ」

 その、少しだけやわらかくなった唇が、意外な一言を吐いた。

 一瞬だけ。

 真理は、動きを止める。

 しかし、すぐに時を戻した。

 そんなことは、ありえないと思ったからだ。

 早紀の存在を、完全に感知できる魔族は、おそらく契約している真理だけ。

 事実、タミは早紀をうまく認識できていたなかった。

「出来るのです」

 真理の沈黙を、信用されていないと理解したのか。

 タミは、するりと手袋を外す。

 初めて見る、彼女の手は──青かった。

 真理には、はっきりとは認識できなかったが、その青の中にはたくさんの魔力が渦を巻いているように感じる。

「彼女から…前に魔力をもらいました」

 上に向けた手のひら。

 その青い手のひらから、糸が紡ぎ出されていく。

 しゅるん。

 細い細い蛇のように、糸は床まで落ちると、鎌首をもたげた。

「これは…彼女の魔力です」

 早紀のつけている、濃紺のリボンと同じ色の糸だ。

 まだ、タミの手のひらと糸はつながっている。

「この糸を切れば…魔力は持ち主の元へ戻ろうとします」

 それを追えば──その先に、あの女がいるのだと。

 そう、タミは言うのだ。