「私のっ……」
早紀が、勇気を持って出そうとした声は――裏返った。
痙攣するように、喉がひくっと鳴る。
言わなきゃ。
気負いすぎた彼女の唇が、もう一度空を切った時。
真理は。
目の前に立っていた。
あっと、思う間もない。
冷たいその指先が、早紀の額を滑ったのだ。
ガシャン。
な、んで。
全身が金属になる感覚に襲われながら、早紀は真理を見ていた。
今日は蝕ではない。
そうならば、早紀が最初に気付くはずだ。
鎧になる必要などないのに。
しかし、逆らえるはずなどない。
早紀は、真っ黒い塊になるしかなかった。
その塊に。
真理が、入ってくる。
生々しく、早紀の隙間を埋めてゆく、違う生き物。
なんで、なんで。
早紀は、聞きたいことがあるのだ。
答えが欲しいのだ。
悠長に、鎧になっている暇などない。
だが。
混乱しながらも、早紀はステルスをかけなければならなかった。
止められないこの気持ちを、真理に知られるわけにはいかないのだ。
海族のこともあったが――この気持ちそのものを、真理が理解できるとは思わなかったから。
殻に閉じこもる。
その中で、早紀は殻を叩き続けるしか出来ないのだ。
おかあさん、おかあさん、と。
身体は勝手に動き、テラスにつながる窓を開ける。
雷鳴と、叩きつける雨。
飛び立った鎧を、雨が容赦なく打ち据えた。
早紀が、勇気を持って出そうとした声は――裏返った。
痙攣するように、喉がひくっと鳴る。
言わなきゃ。
気負いすぎた彼女の唇が、もう一度空を切った時。
真理は。
目の前に立っていた。
あっと、思う間もない。
冷たいその指先が、早紀の額を滑ったのだ。
ガシャン。
な、んで。
全身が金属になる感覚に襲われながら、早紀は真理を見ていた。
今日は蝕ではない。
そうならば、早紀が最初に気付くはずだ。
鎧になる必要などないのに。
しかし、逆らえるはずなどない。
早紀は、真っ黒い塊になるしかなかった。
その塊に。
真理が、入ってくる。
生々しく、早紀の隙間を埋めてゆく、違う生き物。
なんで、なんで。
早紀は、聞きたいことがあるのだ。
答えが欲しいのだ。
悠長に、鎧になっている暇などない。
だが。
混乱しながらも、早紀はステルスをかけなければならなかった。
止められないこの気持ちを、真理に知られるわけにはいかないのだ。
海族のこともあったが――この気持ちそのものを、真理が理解できるとは思わなかったから。
殻に閉じこもる。
その中で、早紀は殻を叩き続けるしか出来ないのだ。
おかあさん、おかあさん、と。
身体は勝手に動き、テラスにつながる窓を開ける。
雷鳴と、叩きつける雨。
飛び立った鎧を、雨が容赦なく打ち据えた。


