本日、溺愛注意報。

いたずらが成功した子どものようにニヤけている朔を目の前にして、私はなんとも言うことができなかった。

お菓子はもう尽きてしまったからだ。

これは⋯⋯降参しか、ないのかな。



「いたずらしてもいいの? 雛」

「はいはい。⋯⋯変なことはやめてよね」



私の言葉で満足そうに笑った朔。

そんな表情のまま、朔は私の手を取った。

⋯⋯?

朔は、何をする気なの⋯⋯?


___ちゅっ。


二人きりの部屋で、小さなリップ音が鳴った。

その音自体は大きいわけではないのに、私の耳にはひどく響いて残ってしまった。

いっ、今、キスして⋯⋯っ!?



「⋯⋯これが、いたずらだよ」

「ば、ば⋯⋯」

「ば?」

「バカ朔ッッッ!!」



今日は、朔に勝てると思っていたのに⋯⋯。

今日だけは、朔よりも上に立てると思っていたのに!

今日もいつものように、朔に振り回されて負けに終わってしまった。

私は、いつまでこの幼馴染に振り回されないといけないのだろう。

でも、不思議と嫌な感じはしなかった。



___ハロウィンの日は、とびきり甘くて、とびきり嬉しいいたずらをもらった。


〈終〉