本日、溺愛注意報。

⋯⋯本当は、そんなこと思っていないのに。

私は、ただ朔と話したいだけなのに。

そんな本音を隠すように、強がってしまう。



「ひーな」



いつからだろう、この声に反応してしまうようになったのは。

小さい頃から聞いていて、慣れているはずなのに。



「⋯⋯何」

「Trick or Treat」



突然朔がそんなことを言うものだから、私は硬直してしまった。



「あれ、お菓子はくれないの?」

「なんで突然、そんなこと⋯⋯」

「忘れちゃったの? 今日はハロウィンでしょ。ほら」



朔は壁にかけてあるカレンダーを指さす。

その先には、十月三十一日と書いてあって、ハロウィンということを再認識させるようだった。



「そんなことくらい、私も知ってるから。
⋯⋯朔がそんなこと言うのが、ちょっと意外だったというか」



朔はイベントごとは好きだけど、こんなに楽しむようなタイプじゃない。

ましてや、お菓子だってそんなに好きではなかったはず。