本日、溺愛注意報。

⋯⋯ちょっと防犯的に危ないかなとは思うけど。



「いらっしゃい、雛乃ちゃん。
朔なら部屋にいると思うわよ」

「ありがとうございます」



二階に上がって、見慣れたドアを見つめる。



「朔ー? 入るよ」

「入っておいで、雛」



ドア越しに、少しこもったような男の子の声が聞こえる。



「⋯⋯また本読んでる」

「ああ、面白いからね。雛も読む?」

「別に」



目の前に座っている彼⋯⋯九条朔(くじょうさく)は、私の幼馴染だ。

彼のことを一言で言うのなら、天才。

朔は、正真正銘の天才なのだ。

小さい頃から何をやらせても一番を取れるし、素行だって問題ない。

そんな朔が羨ましかったし、同時に私の一番の自慢でもあった。



「朔が読んでる本って、なんだか難しそう」

「まあ、雛が読むには難しいかもしれないね」

「ケンカ売ってんの?」

「まさか」



朔はいつも、私の言葉に余裕を持って返事をする。

なんだかその対応の仕方から、私が朔よりも子どもだと言われているみたいで、つい強い言葉を使ってしまう。