本日、溺愛注意報。

十月三十一日。

この日は⋯⋯一年の中で、唯一私が”あいつ”に勝てる日。

☆     ☆     ☆

「服装よし、髪型よし、メイクよしっ」



鏡に映った自分を見て、私・天宮雛乃(あまみやひなの)は微笑む。

自然と口角が上がってしまうのだ。

⋯⋯なぜかって?

それは、今日があいつ⋯⋯幼馴染であり、因縁のあいつに、唯一勝てる日だから!



「あら、雛乃? どこに行くの?」

「んー⋯⋯朔のとこ」

「いってらっしゃい」

「はーい」



無事お母さんから出かける許可のようなものをもらった私は、玄関から外へ出た。

目指すは、我が家のお隣さん。

〈九条〉と書かれてある表札を確認して、インターホンを押す。


___ピンポーン。


すると、あたりに軽やかなインターホンの音が鳴り響いた。



『はーい⋯⋯あ、雛乃ちゃん!
どうぞどうぞ、入って〜』



機械越しにおばさんの声が聞こえたから、入らせてもらった。

家が隣で、両親それぞれの仲がいいから、インターホンを押すだけですぐに上がらせてもらうこともできるんだ。