ファンタジー
mekoneko/著

- 作品番号
- 1795268
- 最終更新
- 2026/10/30
- 総文字数
- 0
- ページ数
- 0ページ
- ステータス
- 未完結
- PV数
- 0
- いいね数
- 0
声は出す。涙は出さない。それが泣き女のこつだ――と、露は勝手に思っている。
都の泣き女衆で育った十七歳の露は、弔いの場に雇われて泣くのが仕事。けれど死んだ人に素手で触れると、その人の最後の想いが流れこみ、本気で泣いてしまう。だから露は、いつも袖ごしにしか触れない。
後宮・梅壺の更衣の葬儀で、露はうっかり亡骸の衣に素手で触れ、「この方は寝床で亡くなったのではありません」と口走ってしまう。凍りついた広間でただひとり、彼女に椿餅を差し出したのは、泣きも笑いもしない美貌の陰陽師・昴だった。
その椿餅は、なぜか懐かしい味がした。
後宮では、亡き更衣の霊が出ると噂されていた。新しい中宮が立つまで、あとひと月。銭勘定にうるさい叔母・時雨の手で、露は陰陽寮へ貸し出されてしまう。女孺として後宮に入りこんだ露の相棒は、死者が見える昴と、幽霊がまるで見えず、胸の痛みまで空腹と取り違える滝口の武士・猛。三人は丑の刻にだけ現れる打橋を渡り、死者たちのとどまる「夜の後宮」へ踏みこむ。
書き換えられた死に場所。届かなかった一通の文。そして叔母がくり返す警告――向こうで、自分の涙だけは流すんじゃないよ。
それにしても、この陰陽師はどうして毎日欠かさず椿餅を届けてくれるのだろう。
十年前、はじめて出た葬儀で、母親の棺にすがって泣いていた男の子がいた。その子のぶんまで泣いてやった日にもらった椿餅の味を、露はいまも覚えている。顔のほうは、さっぱり覚えていないけれど。
銭を数えるはずの叔母の数珠が、月のない夜にだけ鳴りやむ。十年前のあの葬儀も、月のない夜だった――。
腹ペコ泣き女と泣かない陰陽師が拾いあげる、最初の「最後の想い」。
再会から始まる和風後宮ファンタジー。
※平安時代をモチーフにした、架空の世界の物語です。
都の泣き女衆で育った十七歳の露は、弔いの場に雇われて泣くのが仕事。けれど死んだ人に素手で触れると、その人の最後の想いが流れこみ、本気で泣いてしまう。だから露は、いつも袖ごしにしか触れない。
後宮・梅壺の更衣の葬儀で、露はうっかり亡骸の衣に素手で触れ、「この方は寝床で亡くなったのではありません」と口走ってしまう。凍りついた広間でただひとり、彼女に椿餅を差し出したのは、泣きも笑いもしない美貌の陰陽師・昴だった。
その椿餅は、なぜか懐かしい味がした。
後宮では、亡き更衣の霊が出ると噂されていた。新しい中宮が立つまで、あとひと月。銭勘定にうるさい叔母・時雨の手で、露は陰陽寮へ貸し出されてしまう。女孺として後宮に入りこんだ露の相棒は、死者が見える昴と、幽霊がまるで見えず、胸の痛みまで空腹と取り違える滝口の武士・猛。三人は丑の刻にだけ現れる打橋を渡り、死者たちのとどまる「夜の後宮」へ踏みこむ。
書き換えられた死に場所。届かなかった一通の文。そして叔母がくり返す警告――向こうで、自分の涙だけは流すんじゃないよ。
それにしても、この陰陽師はどうして毎日欠かさず椿餅を届けてくれるのだろう。
十年前、はじめて出た葬儀で、母親の棺にすがって泣いていた男の子がいた。その子のぶんまで泣いてやった日にもらった椿餅の味を、露はいまも覚えている。顔のほうは、さっぱり覚えていないけれど。
銭を数えるはずの叔母の数珠が、月のない夜にだけ鳴りやむ。十年前のあの葬儀も、月のない夜だった――。
腹ペコ泣き女と泣かない陰陽師が拾いあげる、最初の「最後の想い」。
再会から始まる和風後宮ファンタジー。
※平安時代をモチーフにした、架空の世界の物語です。
- あらすじ
- 後宮・梅壺の更衣の葬儀で、露はうっかり亡骸の衣に素手で触れ、「この方は寝床で亡くなったのではありません」と口走ってしまう。凍りついた広間でただひとり、彼女に椿餅を差し出したのは、泣きも笑いもしない美貌の陰陽師・昴だった。
後宮では、誰も亡くならない。そんな掟の中で、泣き女の露が、幼き日に出会った陰陽師・昴と、なぜか露と接すると、お腹のあたりがムズムズする猛の後宮サスペンスラブロマンス。
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