〜叶芽 side〜
「わりぃ、待たせた」
「いーよーお疲れ」
零叶と図書館で別れてから
お昼をまだ食べてなかったことを思い出し
持ってきてたお弁当を空き教室で食べ
図書館に戻り本を読んだりスマホを見たりして
時間を潰していると
朝陽が慌てた様子でやってきて
私の前に座った
「で、零叶の昔だっけ」
「そう、あいつ小さい時になにがあった?」
「10歳の誕生日の時の前日かな、両親に迎えに来てもらうはずだったの「ケーキ買って帰る!」って、だけど時間になっても来なくてやっと来たと思ったら両親じゃなくておばあちゃんでそのまま病院に行ったの」
「病院って…」
「その日の前日ね雪が酷くて道路が凍ってて迎えに来てる途中で歩道を渡ってた10歳くらいの男の子が転んで道路の方に飛び出しちゃって、それで慌てて避けようとしてハンドル切ったらそのまま近くの壁に突っ込んじゃったの、すぐ周りの人が救急車呼んでくれて病院に行ったけど次の日にはもうダメだったみたい」
「…その後は?」
「最初はおばあちゃん家に居たんだけどおばあちゃんも施設に入るようになって誰が零叶を見るかってなったんだけど近くに住んでる人は少なかったしお年寄りも多くて、色んな場所を転々としてたの、それで中学の時上手くクラスに馴染めなくてどうすればいいかって考えた結果が自分の意思を伝えないことだったの」
まだ小さかった私たち
零叶は一人でどうすればいいか考え
自分が我慢すればいいと思ってしまった
「ただでさえ場所が転々としてたのにその人たちにわがままなんて言えなかったし恩返しをしなきゃって頼まれても断らないで素直にやってたんだよね」
「じゃあ冬に休みがちになるのも文化祭の準備を一人でやってたのも…」
「うん、冬の零叶の誕生日が両親の命日でそれがトラウマになってるから休みがちになっちゃうし、わがまま言わないのも断らないのも全部小さい頃から続いてきてて意識してなくても頭がそう覚えちゃったからだと思うの、本人は何も言わないけどね…」
だからこそ私たちが気づいて
さりげなく手を差し伸べてあげなきゃいけない
「…毎朝歩いてる零叶を見ると、私とか朝陽が挨拶すると笑顔を返してくれるのを見るとものすごく安心する、だから今日零叶がいつもの時間に歩いてない時凄く怖かった、家で一人で泣いてるんじゃないか、寂しい思いをしてるんじゃないかって…零叶まで死んじゃうんじゃないかってすごく不安になるの…だからできる限りそばにいて何気ない会話をしたり二人で出かけたりしてる、そういう存在が居てくれるのは助かるって前に零叶が言ってたから」
一人暮らしをすると零叶から聞いた時
一番最初に思ったのはやっぱりだった
『叶芽、私卒業したら一人暮らしするよ』
『そっか、高校の近く?』
『うん歩いて通えるくらいのとこに住む』
『なんかなくても私に言ってね、朝は毎日一緒に行こう』
『ありがとう、私ほんとに叶芽がいてくれて良かった』
『私も零叶と出会えてよかった』
『またよろしくね』
『うん!』
あの時の零叶の顔は今でも覚えてるし
あの言葉は絶対忘れることは無い
「だからね、朝陽」
話し終わっても下を向いたまま
黙っている朝陽に声をかける
「朝陽にも零叶にとってそんな存在になって欲しいの」
「…え?」
「零叶はきっと朝陽もそういう存在になって欲しいと思ってるだろうし、零叶ね私たちの名前が好きだって言ってた」
零には何も無い状態や
喪失感という意味があるため
私や朝陽のような始まりを意味する名前が
好きだと言っていた
もちろん零叶の名前には
新しい始まりや無限の夢という意味が
込められているが
それを知らなかった零叶は
酷く自己肯定感が低かった
だからこそ朝陽みたいに元気づけてくれて
一緒に居て楽しい存在が隣にいたら
きっと嬉しいんだと思う
「わりぃ、待たせた」
「いーよーお疲れ」
零叶と図書館で別れてから
お昼をまだ食べてなかったことを思い出し
持ってきてたお弁当を空き教室で食べ
図書館に戻り本を読んだりスマホを見たりして
時間を潰していると
朝陽が慌てた様子でやってきて
私の前に座った
「で、零叶の昔だっけ」
「そう、あいつ小さい時になにがあった?」
「10歳の誕生日の時の前日かな、両親に迎えに来てもらうはずだったの「ケーキ買って帰る!」って、だけど時間になっても来なくてやっと来たと思ったら両親じゃなくておばあちゃんでそのまま病院に行ったの」
「病院って…」
「その日の前日ね雪が酷くて道路が凍ってて迎えに来てる途中で歩道を渡ってた10歳くらいの男の子が転んで道路の方に飛び出しちゃって、それで慌てて避けようとしてハンドル切ったらそのまま近くの壁に突っ込んじゃったの、すぐ周りの人が救急車呼んでくれて病院に行ったけど次の日にはもうダメだったみたい」
「…その後は?」
「最初はおばあちゃん家に居たんだけどおばあちゃんも施設に入るようになって誰が零叶を見るかってなったんだけど近くに住んでる人は少なかったしお年寄りも多くて、色んな場所を転々としてたの、それで中学の時上手くクラスに馴染めなくてどうすればいいかって考えた結果が自分の意思を伝えないことだったの」
まだ小さかった私たち
零叶は一人でどうすればいいか考え
自分が我慢すればいいと思ってしまった
「ただでさえ場所が転々としてたのにその人たちにわがままなんて言えなかったし恩返しをしなきゃって頼まれても断らないで素直にやってたんだよね」
「じゃあ冬に休みがちになるのも文化祭の準備を一人でやってたのも…」
「うん、冬の零叶の誕生日が両親の命日でそれがトラウマになってるから休みがちになっちゃうし、わがまま言わないのも断らないのも全部小さい頃から続いてきてて意識してなくても頭がそう覚えちゃったからだと思うの、本人は何も言わないけどね…」
だからこそ私たちが気づいて
さりげなく手を差し伸べてあげなきゃいけない
「…毎朝歩いてる零叶を見ると、私とか朝陽が挨拶すると笑顔を返してくれるのを見るとものすごく安心する、だから今日零叶がいつもの時間に歩いてない時凄く怖かった、家で一人で泣いてるんじゃないか、寂しい思いをしてるんじゃないかって…零叶まで死んじゃうんじゃないかってすごく不安になるの…だからできる限りそばにいて何気ない会話をしたり二人で出かけたりしてる、そういう存在が居てくれるのは助かるって前に零叶が言ってたから」
一人暮らしをすると零叶から聞いた時
一番最初に思ったのはやっぱりだった
『叶芽、私卒業したら一人暮らしするよ』
『そっか、高校の近く?』
『うん歩いて通えるくらいのとこに住む』
『なんかなくても私に言ってね、朝は毎日一緒に行こう』
『ありがとう、私ほんとに叶芽がいてくれて良かった』
『私も零叶と出会えてよかった』
『またよろしくね』
『うん!』
あの時の零叶の顔は今でも覚えてるし
あの言葉は絶対忘れることは無い
「だからね、朝陽」
話し終わっても下を向いたまま
黙っている朝陽に声をかける
「朝陽にも零叶にとってそんな存在になって欲しいの」
「…え?」
「零叶はきっと朝陽もそういう存在になって欲しいと思ってるだろうし、零叶ね私たちの名前が好きだって言ってた」
零には何も無い状態や
喪失感という意味があるため
私や朝陽のような始まりを意味する名前が
好きだと言っていた
もちろん零叶の名前には
新しい始まりや無限の夢という意味が
込められているが
それを知らなかった零叶は
酷く自己肯定感が低かった
だからこそ朝陽みたいに元気づけてくれて
一緒に居て楽しい存在が隣にいたら
きっと嬉しいんだと思う

